小売業を主体とした事業を行う株式会社わざわざが、「B Corp」の認証を取得した。同社は、「パンと日用品の店 わざわざ」、喫茶+本+ギャラリーを併設する店舗「問tou(とう)」、良いものをさっと買えるローカライズされたコンビニ「わざマート」、コワーキングと体験型施設「よき生活研究所」の4店舗を運営し、ECサイトを2つ運営している。2023年7月19日時点で、日本ではダノンジャパンをはじめ29社がB corpを取得しており、わざわざは日本で26社目の認証取得となる。

わざわざは、長らく「事業を行うにあたり利益は必要であるが、それを目的化しない」ということを考えてきたという。わざわざを代表するオリジナル商品である、「残糸靴下」や「残糸ザンシンバッグ」は、工場から相談を受けた悩みを解決しながら、作り手・売り手として必要な利益を出すことができ、買い手にとっても購買行動を通してゴミの削減に貢献できる製品だ。

これまでも、わざわざは作る人、売る人、買う人の三方にとって良いものづくりを心がけてきた。B Corpは、ステークホルダーにとって利益があるという状態を客観的な尺度で測るきっかけとなる。同社は、より新たな広い視点を与えてくれる可能性を感じ、B Corp認証取得したという。わざわざの店舗運営におけるこだわりについては、ライフスタンスエキスポでのセッションの模様も合わせてご覧いただきたい。

「よい店舗」づくりへのこだわりが、じわじわと地域に広がる。わざわざ平田はるか氏、FOOD&COMPANY白冰氏が語る、思想ある売り手の姿勢

わざわざのように、従来から各ステークホルダーの立場にたって商いを営んできたプレイヤーにとっても、B Corpの認証取得は容易ではなかった。同社は、2021年7月からB Corp認証を取得するために、BIA(B Impact Assessment)にチャレンジ。初回に獲得した点数は53点で、B Corp認証申請の基準となる80点に不足していた。その後、社内で取り組みを整理し、80点をこえたところで、申請を行った。

B Corp認証を取得するための申請は世界各地から行われている。そのため、わざわざが申請してから次のステップに進んだのは半年後。そして、申請から1年後の2022年9月に事務局であるB-labとテレビ面接を実施することとなった。その後、再び点数が基準の80点を下回ったため、さらに追加の質問に回答したり、回答のために社内整備を行ったりと、対応を重ね同年12月に2回目のテレビ面接を実施したという。

最終的に2023年4月に80.4点をこえ、アセスメントクリアの連絡をB-labから受けて、署名や登録料のお支払いに時間をかけて、2023年6月21日にようやくB Corpに認定されたという。

B Corpの認証を取得する企業は日本でも増加している。B Corpは、認証に向けたステップを進める過程にこそ学びがあるという考えもあり、B Corpのような客観的な指標を踏まえて自社のビジネスを見直すことで、より大きなスケールの目的を見据えるという効果もあるという。

B Corpは取得の「過程」に学びがある──日本のB Corpが集結するイベント「Meet the B」現地レポート

B Corpを共通言語に、大きなパーパスに向かう。​​Burton石原公司氏、ファーメンステーション酒井里奈氏が語るそれぞれの会社の歩み

今回、わざわざがB Corpの認証を取得したことで、追随する日本の企業も出てくるだろう。その認証取得過程による学びを重ね、「公益」のために活動する企業が少しでも増えていくことに期待したい。