「よい店舗」づくりへのこだわりが、じわじわと地域に広がる。わざわざ平田はるか氏、FOOD&COMPANY白冰氏が語る、思想ある売り手の姿勢

「それ、どこで買ったの?」という質問に、胸を張って答えられるときもあれば、小声になってしまうときもある。何を買ったかと同じくらい“どこ”で買ったのかは、私の暮らしに対する価値観や考え方をつまびらかにしてしまうと感じるからだ。

英語の慣用句に「You are what you eat. (あなたは、あなたの食べたものでできている)」というものがあるが、衣食住に必要なもののほとんどを購入する生活を踏まえるなら「You are what you buy. (あなたは、あなたの買ったものでできている)」とも言えるだろう。小売店には、モノを媒介するだけでなく、買い手に新たな価値観や考え方を提示し、暮らしや生活を変え得る力がある。

2023年3月に開催された「つくる。買う。選ぶ。の未来」をテーマとした「Lifestance EXPO」。『なぜ、その商品を届けたいのですか? ―使い手とつくり手をつなぐ「思想のある売り手」』と題したセッションでは、顧客はもちろん、生産者や環境にとって“いいもの”を届けようと小売事業を展開する二人の売り手が、商品を選ぶものさしや基準、事業性とのバランス、店舗とECの役割などについて語り合った。

登壇したのは、パンと日用品の店 わざわざの代表 平田はる香氏とFOOD&COMPANYの代表 白冰(バイ ビン)氏。モデレーターは『ほどよい量をつくる』の著者でフリーライターの甲斐かおり氏だ。