今回のアップデートは、単なる評価項目の変更にとどまらず、企業の「透明性」と「継続的な改善」をシステムレベルで底上げする、B Corpにおける重要な転換点だといえる。2026年1月からは既存のB Corp企業の更新が新基準でスタートし、3月からは新規取得を目指す企業も対象となる。
新基準「B Lab Standards V2.1」の主な変更点
第三者認証機関の導入で、グリーンウォッシュを根絶する
新基準の特徴の一つが、ISOの国際規格(ISO 17021-1)に基づいた独立した「第三者認証機関」による審査プロセスへの移行だ。これまでの自己評価に基づく側面が強かった審査体制から、より客観的で厳格な監査へと進化する。
この背景にあるのが、昨今グローバルで問題視されている「グリーンウォッシュ(実態を伴わない環境配慮アピール)」への対策だ。B Labは2026年1月以降、専門家や消費者によるテストを経た承認済みのメッセージング・ライブラリを提供する予定だという。
企業はこれらを活用することで、自社のサステナビリティに関する発信の信頼性を担保し、ブランドリスクを低減させることが可能になる。
欧州の新たな消費者保護指令「ECGT」へのスムーズな適応
また、今回の新基準への移行は、EU市場でビジネスを展開する企業にとって実務的な意味合いも強い。EUでは、環境配慮を謳う製品やサービスに対する規制「グリーン移行のための消費者エンパワーメント指令(ECGT)」が施行されつつある。
新基準は、このECGTに準拠する持続可能性ラベルとしての法的要件を満たすように設計されている。B Labは、EU圏の消費者とコミュニケーションを行う企業に対し、自らが「ECGTの影響を受ける企業」であることを申告するよう促しており、対象企業の更新手続きを優先的にサポートする方針を掲げている。
「一度取って終わり」ではない。5年サイクルの伴走型認証へ
認証プロセスそのものも大きく変わる。新たな認証サイクルは「5年間」に設定され、企業は初年度(Year 0)、3年目、5年目と段階的に高い目標をクリアしていくことが求められるようになる。
さらに、この5年間の間には「サーベイランス監査(継続的なモニタリング)」が組み込まれる。これは、B Corp認証が「到達点」ではなく、より公正で再生可能な経済(リジェネラティブ・エコノミー)に向けた「変革のプロセス」であることを体現するものだ。

新しい認証プロセス
ビジネスが社会の牽引役となるために
B Lab Globalの共同リード・エグゼクティブであるClay Brown氏は、「政府の対応が追いつかない領域において、ビジネスには社会を導く機会と責任がある」と述べている。
新しい基準と厳格な監査プロセスへの移行は、企業にとって決して容易な道のりではない。しかし、それは裏を返せば、自社が真の「パーパス・ドリブン」なリーダーとして、持続可能な未来に向けた本気度を社会に証明する絶好の機会でもある。
ビジネスの在り方を問い直すB Corpの次なる挑戦に、世界中の企業がどう応えていくのか。2026年からの新たな展開に注目が集まる。