1716年創業の奈良の老舗・中川政七商店は、社会や環境に配慮した公益性の高い企業に対する国際認証「B Corporation」(B Corp)を2025年8月に取得したと10月22日に発表した。同社は併せて、使用されなくなった自社商品を回収・修復・再流通させる”工芸のしまいかた”を考える循環プログラムを、2026年1月下旬より開始する。

B Corp認証は、米国のNPO法人「B Lab」が運営する国際認証制度で、ビジネスを通じて社会をより良く変えることを目的としている。2025年10月現在、世界102カ国で10,000社以上、日本では60社以上が取得している。中川政七商店は2年以上にわたる審査を経て、認証条件の80点(200点満点)を上回る84.1点を獲得。特に「コミュニティ(地域社会)」と「ワーカー(労働者、従業員)」における活動が高く評価された。

循環プログラムでは、顧客が不要となった同社商品を回収し、金継ぎや染め直しなどの修繕を施したうえで自社店舗にて再販売する。再販売による売上の一部は製造メーカーや工芸産地の団体に還元され、道具修繕や原材料購入などに活用される。修繕が難しいものは原材料化し、新たな商品の原料として活用する予定だ。

千石あや代表取締役社長は「工芸の知恵を手がかりに、”つくる・つかう・終わらせる”の循環を実践し、ものづくりの新しい責任を、世界の皆さんとともに見つけていきたい」とコメントしている。