インターネット学習を通して社会人の学びをサポートする株式会社Schooが、シリーズEラウンドで総額約21.5億円の調達実施を実施した。

同社が提供する動画学習サービス「Schoo」には、参加型の生放送授業や録画授業によって、デジタルリテラシーやビジネススキルなどを中心とした、幅広いジャンルについて学べるコンテンツが並ぶ。

生放送授業については、無料の会員登録を行うだけで受講可能だ。授業は、一方通行ではなく、講師と受講者の双方向のやりとりによって進行される。有料のプレミアム会員になると、過去のアーカイブ含め7000本以上の授業の録画を参照できるようになり、より自分の興味関心に合わせた受講が可能になる。

また、法人向けのサービスとして、社員研修と自主学習の組み合わせにより、自律的に学ぶ組織をつくるオンライン学習SaaS「Schoo for Business」も提供している。社員研修は、階層や職種、研修のテーマ別に200種類以上の中から選べる。また、個人が自発的に学習に取り組めるようなオリジナル授業も毎日更新されている。

社会人の学び直しが注目される背景

株式会社Schooは、「世の中から卒業をなくす」をミッションに2011年からサービスを開始。多様な社会課題を解決するためには一人ひとりが学び続けることが重要であるという考えのもと、社会人教育事業や高等教育機関DX事業、地方自治体と連携したスマートシティ推進事業など、幅広く「学び」に取り組んできた。

スタートアップとして、インターネットやテクノロジーを活用することによって、時間や場所、コストなど、学びの障壁となるものを取り除き、多様な学びのニーズに答えることを目指してきた同社に、「リスキリング」という追い風も吹いた。社会人の学び直しというテーマが注目され、2022年には政府からリスキリング支援に5年間で1兆円を投資する方針が示された。

国がリスキリングを後押しする背景にあるのは、日本のデジタル化の遅れだ。経済産業省によると、将来的に40~80 万人の規模でIT人材の不足が生じる懸念があるという。こうした状況からも、デジタル分野をはじめとする人材育成やリスキリングの重要度は上がると考えられる。

「リスキリング」だけが学習の目的ではない

だが、Schooは単にリスキリングだけを対象としているわけではない。「これからのシゴト服」といったファッションの話題や、「和の音楽史に学ぶイノベーションのヒント」といった趣味と掛け合わせたテーマのように、面白そうだと思えるコンテンツも並んでいる。同社のミッションである「世の中から卒業をなくす」ためには、学習が楽しいものであることも重要だ。追い風が吹く前から、取り組み続けている同社のサービスには一貫した姿勢が感じられる。

Schooは、今回の資金調達を受け、各種サービスをさらに充実させるとともに、リスキリング市場の更なる拡大に伴うプロダクト開発、採用・組織体制の強化を行うとしている。Schooのようなサービスが、学び直しの一歩目に繋がることに期待したい。

(Photo via Schoo