Independent Sector」が、アメリカにおける「非営利セクターに対する信頼」について調査を行い、2022年3月にレポートを発表している。Independent Sector は、40年にわたり、非営利セクターをつなぐコミュニティを運営し、非営利セクターに関わる政策課題にも取り組んできている団体だ。

発表された調査の対象は、アメリカの成人3,015人。非営利セクターに対する市民の信頼について評価し、信頼を促進する要因を明らかにすることを目的として行われた。

レポートによると、アメリカ人の56%が非営利セクターを信頼していると回答しているという。政府や大企業、報道機関を信頼しているのが3分の1以下と低い結果であることを踏まえると、非営利セクターへの信頼度は比較的高いと言える。

同レポートを見るに、非営利セクターが信頼されるには、「誠実さ」と「目的」が重要になるようだ。また、著名人が推薦していること、明確にミッションを伝えていること、成果を実証していること、といったポイントが、信頼を高めることに影響しているという。

一方で、非営利セクターに懐疑的な市民が特に指摘しているのは、資金管理の不備や、不正と汚職だ。中立的な立場の市民は、財務の透明性とインパクトの証明が必要であることを主張している。

世代や性別、経済状況や学歴においても、非営利セクターへの信頼において差が生じているそうだ。新型コロナウイルスの感染が拡大した時期には、特に女性の非営利セクターへの信頼が低下したという。また、Z世代は、他の世代に比べて非営利セクターに中立的な立場の人が多く、信頼していると答えた割合が低かった。さらには、学歴の高い人や経済的に豊かな人の方が、非営利セクターを信頼していると答える傾向にあることがわかった。

寄付や行政からの資金によって運営されることの多い非営利セクターにとって、市民からの信頼を得られているかどうかは欠かせない視点となる。国によって傾向に違いもあるが、今回のような調査が進み、非営利セクターが参考にできるデータが蓄積されていくことや、結果として市民の信頼を得られる非営利セクターが増えていくことに期待したい。

レポートの概要はこちら:https://independentsector.org/resource/trust-in-civil-society/

(Photo via Independent Sector