2023年1月、非営利スタートアップを支援するインキュベーター・アクセラレーターを運営する一般財団法人Soilが設立した。非営利スタートアップに不足している創業期資金を助成(寄付)し、また成長のためにサポートしていく。

同法人は、「非営利スタートアップ」を「儲からないけど意義がある事業」を実施するチームと定義している。設立初期は、代表理事の久田 哲史氏が上場によって得た資産などを原資に活動を開始。主に企業のフェーズに合わせて、「Soil 1000」と「Soil 100」の2つの支援プログラムを提供していく。

Soil 1000では、優れたチーム、アイデア、実績を持つ非営利スタートアップに、最大1,000万円を助成(寄付)するプログラムだ。資金だけでなく、事業立ち上げの知見や適切な人的ネットワークも提供していく。

Soil 100では、非営利スタートアップ創業前後の、これから実績を上げていく個人に、最大100万円を助成(寄付)するプログラムだ。これから創業をする人たちに資金援助することで、挑戦の敷居を下げることを目的にしている。

Soilは「経済的リターンを求めない」エコシステムの構築に尽力する。さらに、エコシステム強化のために、スタートアップで資産を得た起業家が、経済的リターンを求めず、社会課題解決のために資金と知見を提供する流れをつくっていくという。

同法人による記事では、新しいエコシステムを生み出すために「社会的インパクト」「創業期の支援」「テクノロジーの重視」「経済的ノーリターン」「最良のパートナー」の5つを掲げている。今後は「支援先が軌道に乗り、コミュニティが徐々に広がっていくことで、Soil以外からも出資が入り、同じような財団法人のモデルが増えていく」ことを思い描いているという。

事業を拡大させてきた起業家には、創業期のノウハウや事業の運用方法など貴重な実践知を持っている。しかし、その実践知は個人に閉ざされ、共有されることは少ない。非営利スタートアップやこれからの挑戦者に、資金だけでなく、実践知も提供することで、さらなる事業の飛躍が見込まれるだろう。多くの非営利スタートアップがSoilを通じて、活躍していくことに期待したい。