メンタルヘルス領域の診療サービス「ファストドクター for KDDI」を展開するファストドクター株式会社と、心のセルフケアアプリ「Awarefy」を運営する株式会社Hakaliは、2022年11月23日から提携を開始した。本提携により、こころの不調を抱える患者に対し、多様な治療の選択肢を提供することが期待される。

ファストドクター株式会社は、KDDI株式会社のヘルスケアアプリ「auウェルネス」と連携し、精神的な不調を感じた際に、オンラインで医師の診察と薬の処方を受けられるサービス「ファストドクター for KDDI」を2022年11月から開始している

同サービスでは、健康保険も適用可能で、会計までの手続きは全てオンライン上で完結するため、こころの不調による医療機関の受診ハードルを下げることが期待できる。その上で、オンラインの診察と薬物治療に加えて、一般外来で行われているような心理療法等の導入が期待されていたという。

一方、株式会社Hakaliは、心のセルフケアアプリ「Awarefy」を提供している。Awarefyは、カウンセリングの現場などでも活用されている認知行動療法をベースとし、自己理解を深める感情や調子のグラフ化、ネガティブ思考をやわらげるマインドフルネス瞑想、ストレス対処のコーピングリストなど、さまざまな機能が搭載されている。

セルフケアが難しくなったタイミングで早期に専門家の診療を受けることもセルフケアの一部であるが、これまでは医療機関の受診への接続はできていなかった。Awarefyのユーザーからも「医療機関と連携してほしい」という声が上がっていたという。

今回の提携は、「こころの不調を抱える患者の増加」という共通の課題に取り組む2社をKDDIが仲介し、それぞれの知見を提供し合うことによって、よりよいサービス提供を目指すものだ。まずは、それぞれのサービスサイト・アプリから、バナーでの紹介によってユーザーが自分の治療法を選択できる環境を整備する。また、ファストドクターの医師は、必要に応じてAwarefyアプリによる認知行動療法を推奨する。

これにより、「ファストドクター for KDDI」のユーザーには心理療法、「Awarefy」のユーザーには専門家による診療という選択肢が提供され、アクセスしやすくなる。それぞれのサービスの不足していた領域を補い合うことにより、両者のユーザーがより多くの選択肢の中から自分に合ったメンタルヘルスケアを選ぶことができるようになる。

今回の提携は、ヘルステックスタートアップならではのスピード感によるものであり、ターゲットとするユーザーが近しいが、ケイパビリティが異なるサービス同士が連携することで、より課題解決に近づける事例とも言えるだろう。

メンタルのセルフケアがますます必要になる中で、治療の選択肢にどのようなものがあるのかを知っておくことや、自分の状態にあった治療法を選ぶことは大切になってくる。「ファストドクター for KDDI」や「Awarefy」が、連携することでより多くのユーザーのメンタルヘルスのケアにつながることに期待したい。