ファストドクター株式会社は、KDDI株式会社のヘルスケアアプリ「auウェルネス」と連携し、精神的な不調を感じた際に、オンラインで医師の診察を受けられるサービス「ファストドクター for KDDI」を2022年11月7日から開始した

「ファストドクター for KDDI」は、いくつかの利用シーンを想定している。例えば、こころの不調を自覚しつつも、受診の必要性や適切な受診先がわからない場合の相談先として。また、精神疾患の症状が急に悪化したり急に発症しているにも関わらず、かかりつけ医につながらない際の受信先として。他にも、精神疾患をもつ患者が身体的な緊急受診が必要な際の受診・相談先として、などだ。

「ファストドクター for KDDI」の利用者は、24時間・365日いつでもアプリ「auウェルネス」や専用サイトから診察日時を設定し、医師とテレビ電話で診察を予約できる。受診後、対面診療の必要性を判断してもらえるほか、薬の処方も受けることができる。

健康保険も適用可能で、会計までの手続きは全てオンライン上で完結する。診察にかかる料金は、保険が適用できる場合、初診で2,200円〜、再診で1,400円〜となっている。決済手段としては、クレジットカードが用意されている。また、KDDIとの取り組みではあるが、auユーザー以外も利用可能だ。

日本においては、5疾病(がん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病、精神疾患)の中でも最も患者数が多い状況となっており、こころの不調を抱えている人の数は増加しているにもかかわらず、それを支える医療へのアクセスがしやすいとは言えない。

また、メンタルヘルス領域については、内科など他の診療科に比べ、患者側が感じる受診ハードルが高いことも問題だ。実際に、2021年に日本医療政策機構が行った調査では「こころの不調を感じたときの相談先」について「家族・親戚」を除くと、「ない」と答えた人が最も多いことがわかっている。

こころの不調の場合、「この程度なら誰にでもあるのではないか」と、つい症状を我慢してしまうことや、「精神科や心療内科に通っていると知られるのが恥ずかしい」と抵抗感をもってしまうことも多い。

このような状況下において、「ファストドクター for KDDI」は、精神疾患の救急受診を実現できることや、こころの不調による医療機関の受診ハードルを下げることが期待できる。
精神科や心療内科の受診に抵抗のある人にとって、通院の必要がなく周囲の人に見られる懸念がないことは安心感につながる。また、不調を感じて受診を考えた時すぐにオンラインで予約ができ、ビデオ電話という手軽なツールによって対面診療の必要性を判断してもらえるため、受診の最初の1歩になりやすいのではないだろうか。

もちろん、始まったばかりのサービスなので、改善点はあるだろうが、ファストドクターは「患者の声をサービス改善に繋げていくこと」をリリースと合わせて発表している。これまでの救急往診事業で培ってきた改善サイクルを活かしながら、診療後の患者を対象にアンケートを実施し、結果をもとに最適なオンライン診療フローを目指して改善を続けていくという。

オンラインのカウンセリングの普及など、メンタルヘルスケアの選択肢は増えてきつつあるが、医療機関を受診することへのハードルはまだまだ高いと言える。ファクトドクターをきっかけに、医師にこころの不調を相談する1歩目を踏み出す人が増えることに期待したい。