通勤に便利で、内装がきれいで、家賃が安い。

その三拍子さえ揃えばと、場所にはこだわらなかった。縁もゆかりもないこの街に住み始めて、3度目の春を迎えようとしている。

何も知らなかったこの街のことも、少しずつではあるが分かるようになってきた。

駅前のパン屋は安い割に美味しいこと。老夫婦が営む八百屋は20時にお店を閉めること。よく行く居酒屋のママはモテるのに恋愛に興味がないこと。

都会と呼ぶには地味すぎるけど、田舎と決めつけるのは忍びない。「素朴」よりも「渋い」という形容詞が似合うこの街を、私はいつの間にか好きになっていた。

「あ、おはようさん」

近所のおじさんと挨拶を交わすとき、自分がこの街を構成する一要素であることを実感する。

人の生活は2LDKのフローリングだけで築かれるものじゃないと、この街が教えてくれた。

人は“家に住む”のではなく、“街で暮らす”のだ。

カウカモ×ブルーボトルコーヒーの街歩きイベント

共感を覚えた企画がある。

おいしいコーヒー片手に、気ままに街を散策し、そこでの暮らしを想像する。リノベ物件や中古マンションの売買仲介サイト「cowcamo(カウカモ)」と、ブランド力の高さを誇る米国初のコーヒショップ「ブルーボトルコーヒー」の異色コラボによる街歩きイベントだ

開催期間は、2018年2月15日から3月31日まで。カウカモで初めて内見をする人を対象に、初回内見時、都内のブルーボトルコーヒー全店で利用できるコーヒーチケットが渡される。

最寄りの店舗でコーヒーをテイクアウトし、自分の足が赴くままに街を歩く。右へ行くも、左へ行くも自由。大通りに疲れたら、少しの冒険心を胸に細い路地に入ってみる? 公園のベンチに座り、その街で暮らす人たちを観察するのもいいだろう。

どこで何をしようとも、片手にあるコーヒーが「日常感」を演出してくれる。

「この街に住んだら、どんな暮らしができるだろう?」

そんな風に妄想しながら、新しい住まいを探すことができるのだ。

きっかけは、「街へのまなざし」が同じだったから

これまでにも、2ブランドコラボによる街歩き企画は何度か実施されてきた。カウカモとブルーボトルコーヒーがタッグを組んだきっかけは、互いの「街へのまなざし」に共感を覚えたからだという。

数ある中古・リノベーション住宅の中から理想の「一点もの」との出会いを提供し、自分らしい暮らしの実現をサポートする「カウカモ」。

アメリカ・カリフォルニア州のオークランドで生まれ、2015年に日本へ上陸。選び抜いた豆の個性を最大限に引き出す形で焙煎し、一杯入魂のサーブスタイルが人気の「ブルーボトルコーヒー」。

「カウカモ」は、「住まいを選ぶことは街を選ぶこと」を合言葉に、“街”を住まい選びのキーファクトに捉え一点ものの住まいを紹介する。「ブルーボトルコーヒー」は、常に街の空気感を大切に、内装にその街の色を反映させるなど、地域に根ざした店舗を作り続ける。

街ごとのアイデンティティを尊重し、それぞれに応じたライフスタイルを提案する。

“街”に対する姿勢、それに基づいてサービスを提供するスタイルの合致が、カウカモとブルーボトルコーヒーを結びつけた。

“街の魅力”から住まいを選ぶ

今までの住まい探しは、“物件あってこそ”のものだったように思う。

不動産屋に行って、「どんな物件をお探しですか?」と聞かれることはあっても、「どんな街でどんな暮らしをしたいですか?」と聞かれることはない。

私たちも「2LDKで駅徒歩15分以内、オートロック付きの部屋を探しています」と言うことはあっても、「休日にゆっくり読書ができるカフェがあって、朝は凛とした空気を感じられる街を探しています」と言うことはなかったはずだ。

部屋の広さ、デザイン、日当たり、駅からの近さ、最寄りのコンビニまでの距離——利便性や快適さから逆算し、物件を見つけ、街を選ぶ。それが住まい探しの“普通”だった。

カウカモは、その常識を変えようとしている。

カウカモのサイトを覗くと、掲載物件にはそれぞれユニークなタイトルがついている。

「ココロトトノウ」、「今を大切に生きる」、「そのままのあなた」。

カウカモが紹介する物件は、どれも「理想の暮らし」と紐づけられている。

忙しい毎日でも、心を無くさずに生きていきたい。どれだけ周りが変わろうとも、自分だけはありのままの私を忘れずにいたい。大切な人を、大切にできる暮らしがしたい。

自分の理想を叶える街はどこなのか? その街に行けば、どんな暮らしができるのか?

「住まい探しの基本は“街選び”から」

そんな考えが浸透する日も、そう遠くはないと予感する。利便性や快適さは、きっと後から付いてくる。

だから、住まいを探すときは、まず自分に聞いてみることだ。

「どんな暮らしをお探しですか?」