DVDの宅配サービスから、映画のストリーミング、そしてオリジナルコンテンツの制作へと注力してきたNetflix。2018年には、Netflixは1000本のコンテンツ制作を検討している。今週は、Netflixによる新たな買収のニュースも飛び込み、自社制作作品の発表がますます加熱しそうだ。

日々Netflixからリリースされる作品の中から、UNLEASH編集部がキュレーションしたおすすめコンテンツを紹介するこの連載。

今週は、新作の中から職業、性的嗜好、人種問わず、人々の日常が持つ力強さが際立った2作品をピックアップ。

ダンシング・ドラァグ・クイーン

先日、何気なくつけたテレビで『かたせ梨乃が進駐軍の前で踊り狂った時代…とマツコ』という番組が放送されていた。興味本位で見始めたその番組は、映像や写真を引用しながら日本の風俗史について紐解いていく、というもので、見れば見るほど惹きつけられた。番組からは性風俗を特異なものとして切り離すのではなく、一つの生き方、あるいはその世界で生きてきた人の生き様として、描くという気概が感じられたからだ。

同様の心意気が、ドキュメンタリー『ダンシング・ドラァグ・クイーン』からも感じられる。ドラァグ・クイーン界のスーパースター、アリッサ・エドワーズ。パフォーマーとして、ダンスの指導者として、そしてひとりの人間として、アリッサの日常を映した今作。笑いがあり、悩みがあり、喜びがあり、苦しみがある、アリッサの生活は、多くの人にとって共感でき、また勇気付けられるものだろう。

7月22日

2011年7月22日、ノルウェーで連続テロ事件が発生した。犯人は、首都オスロの政府庁舎を爆破すると、十代の青年たちが集まる指導者育成合宿にて銃乱射事件を起こした。犠牲者は77人にのぼり、戦後の歴史に刻まれる凄惨な事件となった。『7月22日』は、事件の被害者、そして事件によって信頼を失った国家がどのように傷と向き合い、未来へ向かうのかを描いた再生の物語だ。

たった1日、数時間の出来事が多くの人の人生を大きく変えてしまう、その残酷さと、事件の惨さを目の当たりにした上で、時間をかけ、再び歩み始める人々の強さのコントラストがなんともいえない後味を残す。

アメリカで起こった銃乱射事件をモチーフに平凡な1日の始まりから銃撃が起こるその瞬間までを描いた『エレファント』と併せて見てみると、考えが深まりそうだ。

今週のNetflixニュース

10月9日、Netflixが史上初となる自社スタジオの買収に乗り出したことをBloombergが伝えた。買収先はニューメキシコ州にある「ABQスタジオ」。Netflixの自社制作作品がますます盛り上がりそうだ。