一般社団法人WE ATは、NINEJP(National Innovation Network for Entrepreneur Japan)および独立行政法人中小企業基盤整備機構(中小機構)と連携し、「社会課題解決分野支援スキーム メンタリングプログラム」を実施する。大学発の研究シーズや学生起業を起点に、社会課題解決を目指して持続的な事業化に取り組むチームの創出と成長を支援する取り組みで、2026年4月27日より参加チームの募集を開始した。

事業化以前の意思決定を支える仕組みの不在
日本のスタートアップ支援は、政府の「スタートアップ育成5か年計画」のもと、大学のギャップファンド整備やアクセラレーションプログラムの拡充、ディープテック領域への公的・民間投資の拡大を通じて急速に整いつつある。一方で、社会課題解決を志向する起業・スタートアップの領域においては、こうした枠組みが十分に機能しているとは言い難い状況にある。
研究シーズや個人の問題意識を起点とした構想が、どのような事業モデルとして成立し得るのか、どの資金調達手法や成長戦略を選択すべきか——本プログラムが課題と捉えるのは、こうした「事業化以前の意思決定」を支える仕組みの未整備である。結果として、有望なアイデアや技術が適切な形で社会実装に至らないケースが多く、社会課題解決を志向する取り組みは存在するものの、それらが継続的に事業として生まれ、成長していくための評価軸や資金の流れは確立されていない。研究・人材・資金・支援が有機的に接続される構造には至っておらず、エコシステムも発展途上にあるという認識だ。
起業/NPO/企業連携を視野に入れた意思決定を支援
本プログラムは従来の育成プログラムとは異なり、起業や資金調達の前段階において、社会課題と研究シーズの接続や事業モデルの再設計を通じて、起業/NPO/企業連携など複数の選択肢を視野に入れた意思決定を支援する点に特徴がある。
大学関係チームを対象に、講義・メンタリング・産学官ネットワーキングを組み合わせ、社会課題解決を志向した事業化の要点を学ぶ。あわせて、メンターによる約1ヶ月間の伴走支援を通じて、社会課題と研究シーズの接続や事業モデルの再設計を行う。プログラムから生まれた構想は、WE ATが運営する「WE AT CHALLENGE」への挑戦へと接続される。
構造・実行・意味づけを一体で支える連携体制
支援体制は、それぞれ異なる強みを持つ3者の補完的な連携によって構築されている。NINEJPは全国160以上の大学ネットワークを有し、シーズの発掘と接続を担う。中小機構はスタートアップへの伴走支援と事業化ノウハウを提供する。WE ATは社会課題を事業として成立させる視点を提供する。構造・実行・意味づけを一体で支える設計である。
WE ATはこれまで「WE AT CHALLENGE」を通じて、社会課題解決を目指すスタートアップの発掘・成長支援を進めてきた。本プログラムはその前段として挑戦者の創出を担い、参加者は「WE AT CHALLENGE」へ接続されることで継続的な事業化支援へとつながる。
個別の創業支援にとどまらず、社会課題解決型スタートアップの創出を支える構造そのものの変革に向けた試行的な取り組みであり、研究者や学生の構想段階から関与することで事業化に至るプロジェクトの母数を拡大する。多様な資金調達や成長モデルを前提とした支援を提示することで、新たな資金と支援の流れの形成を図り、シーズ起点と社会課題起点の接続を通じた創出経路を確立する。社会課題解決を目指す起業家・スタートアップが生まれ続けるエコシステムの構築を目指す。