カレー、揚げパン、冷凍みかん。好きな給食なんだった?と聞けば、だれでも即答できるメニューがひとつくらいあるだろう。みんなにとって心おどる給食の時間が、わたしは少し苦手だった。

「今日もぜったい牛乳あるだろうな」

どんなメニューでも必ずついてくる牛乳。アレルギーではないし、牛乳の味は好きだ。けれど、飲むとお腹が痛くなったり、お腹をこわしたりした。飲みたくないというと、「好き嫌いしないの」とたしなめられる。

「乳糖不耐症」という症状を知ったのは、つい最近だ。乳糖を含む乳製品をとると、腹痛、下痢などを引き起こす。あの頃この症状を知っていれば、牛乳以外の選択肢があれば、給食の時間をもっと楽しめたのかもしれない。

アメリカでは牛乳の代替品が日常的に飲まれている。豆乳やライスミルク、アーモンドミルク、ココナッツミルク、オートミルク、ヘンプミルク、キヌアミルク、ヘーゼルナッツミルクなど選択肢も様々だ。

これらは“ミルク”という名がついているが牛乳とは別物。原料の植物をつぶして絞り、水と混ぜてミキサーにかけて作られている。甘味料入りやフレーバーつき(バニラやチョコレート)のものも販売されており、ドリンクだけでなくデザートやベーカリーにも使用されている。

こうした植物性ミルクはアレルギーを持つ人だけでなく、ヴィーガンや動物愛護者からも支持を集めている。その市場は年々拡大しており、アメリカでは2018年末に売上高が163億ドルに、2024年までに340億ドルを超える見込みだという

最近では植物由来の食品を製造・販売する「Califia Farms」が50億ドルを超える資金調達を発表した。同社は植物性のミルクだけでなく、腸内環境を整える微生物を含むプロバイオティクスのヨーグルトなど、多様な商品を提供している。

得た資金は商品ラインナップの増加や、製造体制の強化に活用するという。

アーモンドミルクやココナッツミルクは、日本でも徐々に見かけるようになってきた。しかし広告では美容や健康への効果が強調され、牛乳の代替品というよりも“美容に良い飲み物”という印象を受ける。人気の女性モデルがイメージキャラクターをつとめているものもあり、若い女性がメインのターゲットに置かれていることが伺える。

日本では牛乳の代替品として豆乳が知られているが、大豆アレルギーを持っている場合は摂取できない。アーモンドミルクなどほかの植物性ミルクがより一般的になり、選択肢が広がるメリットは大きいだろう。

アメリカではカフェでも植物性ミルクを選べるという。日本でも牛乳や豆乳以外の選択肢を気軽に選べるようになり、アレルギーのある人が「何にしよう」と迷う楽しみを享受できるようになることを期待したい。