どうやら今年は、日本において女性史元年と言えそうだ--。

3月はアメリカが定める女性史月間ということで、女性史やそのパイオニアたちについてちょっと調べてみた。すると、これまでに知らなかった名前や史実も多い。自分の無知さを恥じるとともに、女性史に触れてこなかった学校教育を恨んだ。

これまで、多くの国において女性が活躍しづらい社会が形成されていたとはいえ、いくらなんでも女性の歴史や偉大な女性たちについて私たちは知らなすぎるのではないか?

記録に残っても、記憶に残らない。そんな女性の偉人たちや女性史にフィーチャーする書籍が、この春続々と販売される予定だ。

女性偉人や女性史について楽しく学べる絵本

世界を変えた50人の女性科学者たち

2018年4月に刊行予定の「世界を変えた50人の女性科学者たち」は、2016年に欧米で販売されたRachel Ignotofsky(レイチェル・イグノトフスキー)によるビジュアルブック「Women in Science: 50 Fearless Pioneers Who Changed the World」の翻訳版だ。おしゃれなイラストと共に、輝かしい業績を残した50人の女性研究者たちが紹介されている。小学校5年生以上で習う漢字にはルビが振られているため、子供と読むのにも適している。

関連記事:歴史の陰に隠れた”女性科学者”にスポットライトを。キュートなイラストで描かれる『世界を変えた50人の女性科学者』

世界を変えた100人の女の子の物語

大きな夢を持ち様々な分野で偉業を成し遂げた100人の女性たち。そんな彼女たちをイラストと文章で紹介する「世界を変えた100人の女の子の物語」。クラウドファウンディングでは絵本として異例の累計1億7000万円以上を調達したという。すでに世界36カ国で100万部を売り上げた話題作が満を辞して邦訳された。

100人の中には、あなたに似た女性がいるかもしれない。全ての女性、そして女の子に新しい可能性を教えてくれる作品だ。

関連記事:化学者や地質学者の”バービー人形”が登場!欧米では女児向け玩具のSTEM化が進む

問題だらけの女性たち

19世紀、ヴィクトリア朝のイギリスでは、女性の脳はスポンジでできていたり、ペンを持ち上げるだけで貧血になったりしていたそうだ。そんな女性が医学なんて学ぼうものなら胸がしぼんでしまうのだそう。

誰がどう考えても嘘みたいな言説が信じられていた時代があった。そのことをあなたを知っているだろうか?そんな19世紀の女性たちを苦しめた迷信や固定観念をユーモアで笑い飛ばす異色の作品である「問題だらけの女性たち」。そして、問題だらけと決めつけられた女性たちを、歴史のゴミ箱から拾いあげる救いの一作だ。

全ての人が平等に生きるためのヒントを与えてくれる絵本

ここまで、女性の偉人や歴史に関する書籍に触れてきたが、問題の根底にある女性を抑圧してきた思想や女性への関心のなさはどう解決すれば良いだろう?

そんな問いの答えを考えるときに携えておきたい、そんな本がある。

北欧に学ぶ小さなフェミニストの本

男女平等ランキングで常に上位に位置する北欧諸国。その中でも、国会議員の男女比がほぼ一緒だというスウェーデンにおいて、どのように男女がいたわり合い、助け合っているのか。女性も男性も全ての人が自分らしく、平等に生きていくための知恵であるフェミニズムについて易しく教えてくれる「北欧に学ぶ小さなフェミニストの本」。対象年齢は小学校高学年から。柔らかい雰囲気のイラストが印象的な作品になっている。

世界の中でもジェンダーギャップが大きいと言われている日本が、本当の平等を実現するためには、教育の場や家庭でこうした書籍を取り入れていきたいものだ。そして、取り入れた結果、女性の偉業と歴史をより近くに感じる事ができれば、社会は変わっていく。そしてそれらは子供達だけでなく、悩める多くの女性にとってもよりよく生きるための手助けになるだろう。