2020年開催の東京オリンピック誘致のプレゼンテーションを発端に「おもてなし」という言葉をよく耳にするようになった。接客の丁寧さや、礼儀正しい挨拶に姿勢。他人に対しての思いやりに溢れた国だと広くアピールしていた日本だが、実は驚きの事実がある。

イギリスのチャリティー団体、Charities Aids Foundationが2017年に発表した「世界寄付指数ランキング(※1)」によると、日本は140カ国中114位。寄付やボランティアへの関心が世界的に見ても低い数字として表れてしまっているのだ。

この結果だけを真摯に受け止めて、日本は思いやりに欠けた国だと断定することはできないが、日本人が寄付やボランティアにより関心を持てるような取り組みが必要とされていることは、間違いなさそうだ。

ソーシャルグッドな企業・団体と個人を“寄付”で繋ぎ、ともにアクションを起こすためのプラットフォーム「Syncable」は、先に述べた問題の解決に新しい風を吹かせようと奮闘するサービスの一つだ。

「Syncable」は、ブランド宅配買取サービスの「ブランディア」と連携し、家に眠っている洋服やブランド品等のファッションアイテムをダンボールに詰めて送り返すだけで、支援したいNPOやNGO等の非営利団体に直接寄付できる新サービス「Brand Pledge」をリリースした。

同サービスを通じて送られてきたファッション用品は「ブランディア」が査定し、ユーザーは買取金額の寄付先を「Syncable」に登録する約150の団体の中から自身で選択することができるという。

買取金額のすべてが寄付されるというわけではなく、寄付額はユーザー個人が設定する。ダンボールの取り寄せから返送まではすべて無料。査定額が気に入らなかった場合も送料無料で返送してもらうことが可能だ。

「Brand Pledge」のリリースにあたり、「Syncable」はそれまでの寄付に対する日本社会の姿勢に課題を感じていたという。

Syncableはリリース以降約1年間、約150の非営利団体が登録しており、インターネットでの寄付の仕組みを提供することで多くの支援者の方に団体へ直接寄付をしていただきました。一方、金銭的な寄付だけでは、どうしてもハードルが高く感じる方がいることを課題として感じていました。

金銭的な寄付ではなく、かつて自分が愛用していた洋服などのファッションアイテムを通した寄付を誘導することで、利用者の寄付に対する精神的ハードルを下げる狙いだろう。

2020年の東京オリンピックまで、残すところ2年あまり。日本が本当の意味で、思いやりに溢れた国だと世界にアピールできるように。「Brand Pledge」の挑戦は、まだ始まったばかりだ。

※1:イギリスのチャリティー団体「Charities Aids Foundation」による、全世界140カ国を対象とした寄付行為やボランティア活動についての調査。過去1カ月間について「困っている見知らぬ他人を手助けしたか」、「チャリティー団体などに寄付をしたか」、「チャリティー団体などにボランティアとして自分の時間を費やしたか」の3点についての調査が行われた。