最近、中国では「WeChat」や「Alipay」などを通じたマイクロペイメントが注目を集めている。1年以内に中国を訪れたことがある方は、マイクロペイメントと密に連動したサービスを体験したことがあるだろう。

マイクロペイメントの対象となっているのは、Mobikeやofoなどで有名なシェア自転車や、WeChatのQRコードを使って入退室から決済までを行うことができる無人コンビニなど様々だ。その中の1つに、「レンタル充電器」のサービスがある。

18社が競い合う「レンタル充電器」市場。買収や倒産による淘汰が始まっている

レンタル充電器は、WeChatやAlipayのQRコードの読み取りで使用することができるサービスだ。借りる時に、デポジットを日本円で約1,700円支払う。

貸し出すための設備がレストランやスーパーなどに設置されていて、ユーザーはお金を払ってモバイルバッテリーを持ち出すことができる。

使用時間で支払金額が決まり、設備に充電器を返却すると、上記の決済サービスからお金が支払われる便利な仕組みだ。料金は1時間あたり約17円と安い。

日本でレンタル充電器サービスを使用する時は、新たにアプリをインストールしたり、小銭で支払う必要があり、若干面倒だ。

一方、中国のレンタル充電器サービスは、アプリを新たにインストールすることなく、WeChatのみで会員登録から決済までを行うことができ、大変使いやすい。

中国のスタートアップデータベースのItjuziによると、レンタル充電器企業は2017年8月末時点で、18社存在する。

その中の1つだった「Ledian」が、WeChat公式アカウントで業務の停止を宣言したと現地メディアの「IT时代網」が報じた。「Ledian」が倒産した理由は明かされていないが、競争の激化がその1つであると考えられる。

業界最大手と見られていた「Anker街電」は資金調達に失敗。2017年8月に買収されており、中国の「レンタル充電器」市場は本格的な淘汰が始まっている。

激しい市場競争が、サービスの成長を加速させた?

業界トップの企業ですら、安泰ではない。激しい競争が繰り広げられるのが、中国市場の特徴だ。

Itjuziによると、2015年3月にMobikeがエンジェル投資を受けてから、2017年5月までにに22社のレンタル自転車アプリが参入しているが、現在はMobikeとofoの2社に集約されている。約2年半で、生き残ったのは2社だけだ。レンタル充電器の市場も将来的には、数社に集約されていくだろう。

インターネットのビジネスは、Winner-take-allになりやすい。そのため、競合に勝とうと、大型資金を調達し、サービスを拡大させることが多い。

レンタル自転車とレンタル充電器も1社だけでは、数年でこれだけ多くの人に使われなかっただろう。競合の存在が、Mobikeやofoの成長を加速させた。

競合の参入を促進させるための法や政策の整備が、中国のように数年でライフスタイルに変革をもたらすサービスを生み出すポイントではないだろうか。

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