アモデイ氏は声明の冒頭で「AIを米国および民主主義諸国の防衛に活用し、独裁的な敵対勢力を打ち負かすことの存在的重要性を深く信じている」と述べた。

Anthropicはフロンティア AI 企業として初めて米国政府の機密ネットワークや国立研究所にモデルを配備し、国家安全保障向けのカスタムモデルを提供した実績を持つ。Claudeは国防総省において情報分析、シミュレーション、作戦計画、サイバー作戦に幅広く使われている。
また同社は、中国共産党関連企業へのClaude利用を制限するために数億ドル規模の収益を放棄し、同党が支援するサイバー攻撃の阻止やチップ輸出規制の強化を提唱してきたという。
大量国内監視と完全自律型兵器の2点で譲らず
アモデイ氏は、国防総省との契約にこれまで含まれてこなかった2つの用途について、今後も安全策を維持すると明言した。
大量国内監視(Mass Domestic Surveillance) ── 合法的な対外情報活動・防諜活動へのAI活用は支持するものの、AI を国内の大規模監視に使うことは「民主主義の価値観と相容れない」と主張。現行法では、米国市民の移動・閲覧・交友記録を令状なしで政府が購入できる状況にあり、AIによってこれらの断片的データが自動的かつ大規模に統合される危険性を指摘した。
完全自律型兵器(Fully Autonomous Weapons) ── ウクライナで使用されている部分的自律型兵器の重要性は認めつつも、人間を標的決定のループから完全に外す兵器については「フロンティアAIシステムの信頼性が十分ではない」と述べた。国防総省に対してシステムの信頼性向上に向けた共同研究開発を提案したが、受け入れられなかったという。
アモデイ氏は「この2つの例外が、これまで我が国の軍におけるモデルの導入・活用を加速する障壁になったことはない」と付け加えた。
国防総省からの圧力、強まる政府との対立
声明によると、国防総省は「あらゆる合法的用途」を受け入れ安全策を撤廃するAI企業とのみ契約する方針を示し、Anthropicに対して以下の脅しを行ったという。
- 安全策を維持する場合、システムからの排除
- 「サプライチェーンリスク」への指定(従来は米国の敵対国にのみ適用されてきたラベル)
- 国防生産法(Defense Production Act)に基づく安全策撤廃の強制
アモデイ氏は後者の2つが「本質的に矛盾している」と指摘した。一方ではAnthropicをセキュリティリスクと位置づけ、他方ではClaudeを国家安全保障に不可欠と位置づけているためだ。
アモデイ氏は「これらの脅しは我々の立場を変えるものではない。良心に従い、彼らの要求に応じることはできない」と述べた。
国防総省が別の企業を選択する可能性は認めつつも、再考を望むとした。Anthropicが排除される場合は、軍事計画・作戦の継続性を維持するため代替プロバイダーへの円滑な移行を支援する姿勢を示した。
これを受けて、トランプ米大統領は2月27日、Anthropicの技術の使用を取りやめるよう全ての連邦政府機関に指示した。連邦政府とAnthropicの対立は強まっているが、倫理的に重要な姿勢を示したAnthropicを支持したい。