特例子会社の社員とデザイナーがチームを組んだワークショップ
本展示の背景にあるのは、2025年に実施されたインクルーシブデザインワークショップだ。ソニーとコクヨのデザイナーに加え、それぞれの特例子会社であるソニー・太陽とコクヨKハートの障がいのある社員がチームを組み、大分と大阪の2拠点で実施された。
チームで行動を共にし、対話を重ねるなかで得られたのは、不便さや困りごとにとどまらない多様な「気づき」だったという。その気づきを起点に、社会に提供したい価値について組織や世代を超えて議論し、さまざまなアイデアが展開された。
展示では、ワークショップの成果から生まれた2つのプロトタイプが公開される。
ひとつは「自分にとっての心地よい場所を探せるアイランドソファ」。もうひとつは「互いを理解するきっかけになるキーホルダー」。いずれも、障がいの有無に関わらず、人と人の関わり方や居場所のあり方に新しい視点を提示するプロダクトだ。
加えて、コクヨからはインクルーシブデザインのプロセスから生まれた既存製品が、ソニーからはクリエイティブセンター内における多様な働き方を模索する独自の取り組みが紹介される。
大企業のデザイン部門が「インクルーシブ」に取り組む意味
注目すべきは、このプロジェクトが単なるCSR活動ではなく、デザイン部門が主体となっている点だろう。ソニーのクリエイティブセンターは1961年に設立された歴史あるデザイン組織であり、プロダクトからエンタテインメント、金融、モビリティまで幅広い事業領域のデザインとブランディングを担っている。そのデザインの中核組織が、特例子会社と協働しながらインクルーシブデザインの実践に取り組んでいることは、企業におけるデザインの役割の拡張を示している。
コクヨKハートも、2023年からインクルーシブデザインプロセス「HOWS DESIGN」に参画し、コクヨグループのダイバーシティ&インクルージョン&イノベーションの推進に貢献している。特例子会社が「支援される側」ではなく、デザインプロセスの共創パートナーとして位置づけられている構造は、他の企業にとっても参考になるはずだ。
また、ソニー・太陽は、共同創業者・井深大の「障がい者だからという特権なしの厳しさで、健丈者の仕事よりも優れたものを」という理念のもと、プロフェッショナル仕様のマイクやヘッドホンの製造を担ってきた。高度な技術力を基盤にした「能力を最大限に引き出す」ものづくりの思想が、今回のインクルーシブデザインの取り組みにも通底している。
CROSSING VIEWS開催概要

展示名:CROSSING VIEWS
日程:2026年3月6日(金)〜3月10日(火)※3月8日(日)は休館
時間:13:00〜19:00(予定)
場所:コクヨ東京品川オフィス「THE CAMPUS」1階 “BOXX”(東京都港区港南1-8-35)
入場無料・事前予約不要
公式サイト:https://www.sony.com/ja/SonyInfo/design/news/event/CrossingViews/