2024年12月、社会福祉法人 子供の家「ゆずりは」は、2つ目となる拠点「ながれる」を東京都江東区に開設する。同法人は、児童養護施設や里親家庭などで生活していた人、虐待などの理由から親や家族を頼ることができない人が抱える困難を共に解決し、「安心」を育むための伴走サポートを行うため、社会福祉法人子供の家を運営主体として、2011年4月に設立した。
「ゆずりは」は、相談者の困りごとにひとつひとつ向き合い、行政手続きのサポートや通院同行、専門機関へのつなぎなどのサポートを届けてきた。社会的養護の経験の有無に関わらず、性的虐待や教育虐待など、外から見えづらい苦しみの中で生きてきた若者からも多くのSOSが届き、現在では、年間のべ6万件を超える相談に対応しているという。
同法人が新たに設立する「ながれる」は、これまでの拠点にはなかった一時避難(シェルター)の機能を有し、「今日、帰る場所がない」という緊急度の高いSOSに応える場所を目指すという。また、従来の多くのシェルターのように、安全のために相談者と社会を完全に断絶するのではなく、地域の方々と安心してつながれるコミュニティスペースを備えた、“半開き”のシェルターであることも目指す。
「ながれる」は、福祉の世界に閉じず、地域、他業種の方とも交わりあいながら、相談者の「安心」を育もうとしている。その姿勢は立ち上げのプロセスにも反映されている。コンセプト作成・物件選定にはクリエイティブ・カンパニーである株式会社ロフトワークが担当し、設計にはArchitects Atelier Ryo Abeが担当している。「ながれる」が目指すものを実現するために、クリエイティブの専門知を借りながら、福祉に新しい風を吹き込もうとしている。
現在、「ながれる」設立に向けて施設の改装や運営の設計を進めており、公的な補助金によるサポートの見通しは立っていない状態だという。着工〜運営1年目までに必要な費用を補うための寄付を募っている。