介護ロボットによる介護者支援を行う株式会社abaが、複数の新規投資家および既存投資家を引受先として、第三者割当増資を実施した。abaは、においで排泄を検知し、介護者に知らせる介護ロボット「ヘルプパッド」を開発・提供している。

介護における排泄の課題と、介護ロボット「ヘルスパッド」の活用

介護において、排泄にまつわる業務の負担は大きい。特に重要とされる、入浴・食事・排泄の介助という3種類の業務の中でも、唯一コントロールができないからだ。abaのリリースによると、介護施設では1日15時間以上も排泄介助業務が行われており、そのうちの20〜30%は、おむつを交換しようとしたが排泄がない「空振り」の状態となっているという。また、おむつの外に尿や便が漏れてしまった場合、衣服やシーツまで交換することになり、通常のおむつ交換よりもさらに時間がかかってしまう。

こうした課題を解決するため、センシング技術とAI技術を用いて開発された介護ロボットが「ヘルプパッド」だ。ヘルプパッドをベッドに敷いておくと、センサーがにおいで排泄を検知し、介護者に知らせる。これにより、介護者はおむつを開けずとも排泄したことがわかるようになるため、オムツ交換の空振りや尿便漏れを防ぐことにつながる。さらに、蓄積されたデータを利活用して、要介護者ごとに排泄パターン表や予報の確認も可能だ。

街全体で要介護者を支えていくシステムづくり

abaは、今回の資金調達を通じて、ヘルプパッドの改良と販売の促進を行う予定だ。改良を通して、尿と便の識別が可能になる、アプリで排泄を通知する機能が加わる、といったアップデートが行われる予定だという。

また、ヘルプパッドを通して、在宅介護の支援も積極的に行っていく方針だ。ヘルプパッドが各家庭に設置された状態になれば、ヘルパーが適切なタイミングで訪問できるようになるほか、アプリをインストールすれば、地域住民や企業がボランティアとして要介護者を見守ることも可能になるだろう。

ヘルプパッドが目指しているのは、「街全体をひとつの介護施設にすること」だ。

介護へのテクノロジー活用を通した、社会システムの変革

さらにabaは、T&D保険グループとの連携により、国の介護保険だけでなく、民間介護保険を活用したヘルプパッドなどの介護ロボットの導入促進を模索していくとしている。これは、国営の介護保険がない国でも、介護ロボットを普及させていくための新しい社会システムをつくるプロジェクトにもなりうる。

テクノロジーを活用して介護業務の負担軽減を行いつつ、それを国内外へ普及していく社会システムを構築していくことに取り組んでいるaba。今後の動向に注目していきたい。