コーチングという支援方法を身につけるための、実践型プログラムを提供

リーダー向けのコーチングサービスを提供する株式会社コーチェットは、鎌倉市の教育委員会・公立中学校・小学校の校長と教頭職向けに、実践型のコーチングスキル習得プログラムを実施した。

同社は実施背景の一つとして「変化に柔軟かつ迅速に対応し、多様な価値観を受け容れ仲間と協力していくための力を育てるためには、教職員の関わりが欠かせないこと」を挙げている。また、そうした関わりにおいては指示や教えを中心としたティーチング型のコミュニケーションだけではなく、傾聴や問いかけを中心としたコーチング型のコミュニケーションの実践が必要であるとしている。

教職員の変容を後押しし、より良い関わり合いの広がりを支援するため、同社は鎌倉市の協力のもと校長・教頭職向けに独自プログラムを開発した。校長・教頭職向けとした理由については、まずは教職員同士がコーチングの知識やスキルを活かしたコミュニケーションで関わり合えることが重要であり、そのためには現場のリーダーである校長・教頭職が現場で実践することが必要なためとしている。

プログラムは集合研修3回(各3時間の対話/実践型研修)、個別研修2回(各30分のコーチング体験)によって構成される

同社はこれまで、企業のリーダー向けのコーチングプログラム「CoachEd for Leaders」を皮切りに、チームの対話や経験学習を促すためのプログラム「CoachEd for Teams」や経営者のメンタルサポートを目的とした「CoachEd mental support」などの開発・提供を行ってきた。

コーチングの知識やスキルが求められる現場は、ビジネス以外にも数多く存在する。そのうちの一つとして、教育現場も間違いなく含まれてくるだろう。一人でも多くの教育関係者が身につけるためにも、サービス提供の実績を持つコーチェットの取り組みにかかる期待は大きい。

探究学習をサポートする手段としての可能性

公教育の変化に目を向けてみると、たとえば2022年4月から高校で「総合的な探究の時間」が実施されるようになった。文部科学省はこのカリキュラムを設置した目的について、下記のように説明している

変化の激しい社会に対応して、探究的な見方・考え方を働かせ、横断的・総合的な学習を行うことを通して、よりよく課題を解決し、自己の生き方を考えていくための資質・能力を育成すること

また、小中学校の「総合的な学習の時間」における目的も同様のものとしており、年代を問わずこうした力の育成を重要視していることがうかがえる。

一方で、こうしたカリキュラムの導入をより意味のある機会へと昇華させるためには、子どもたちと実際に向き合う教職員の変容や熟達が不可欠であると予想される。必要とされる変容や熟達の一つとして、コーチング型のコミュニケーションを実践できることも含まれてくるだろう。

また、リーダーがコーチング型のコミュニケーションを実践できていない学校現場においては、結果として子どもたちの探究を目的としたカリキュラムが形骸化してしまう可能性も懸念される。

こうした課題や懸念を解消していく上でも、今回紹介したような実践的なプログラムは重要な手段の一つになりうる。さまざまなプログラムやツールを活用しながら、少しずつではあるが継続的に変容の歩みを進めていくことが、教育を通じてよりよい未来を目指すために必要かもしれない。