世界で広がる「クルエルティフリー」
「クルエルティフリー」。製品の安全性を確認するために行う実験のなかで、動物を傷つけたり殺したりしていないことを意味する言葉だ。実際に、倫理や福祉の観点から、ヨーロッパや欧米や中心にクルエルティフリーの考え方が広がっている。
2013年にEUで動物実験が禁止されたのを皮切りに、2020年には、アメリカのカリフォルニア州で、動物実験を行った化粧品の輸入や販売が禁止。その他、ニュージーランドや台湾でも化粧品における実験が禁止されている。このように各国で動物に対する法律の改定や、動物実験の代替法の研究が進んでいる状況だ。
一方、日本の現状はどうだろうか。
環境省によると、日本では「生命科学研究に動物実験は不可欠であるが、福祉の面から適正な動物実験を実施するべきだ」という姿勢のもと、国際的な動物実験の基本理念「3Rの原則※」にのっとって、実験を行うことが求められている。制度上は、動物実験の廃止は義務付けられておらず、未だ認められているため、毎年約2000万頭の動物の命が奪われていると言われている。
※1 「3Rの原則」とは、1959年にRussellとBurch氏によって提唱された世界的な動物実験の基準理念。「Replacement(代替)」「Reduction(削減)」「Refinement(洗練)」の3つの内容が示されている。
しかしそういった現状に対して、国内で廃止していこうとする動きも見られる。2013年には、資生堂が化粧品及び医学部外品に対する動物実験廃止を公表。他にも、これまでマンダムやコーセーなどの大手化粧品メーカーも廃止を宣言したり、動物実験廃止を求めるNPO法人「JAVA」は世界各国の動物保護団体と協力し、さまざまな活動に取り組んだりしている。
世界の優れた代替法を称える『Lush Prize』
英国発のコスメブランドLUSHと、英国の非営利団体のEthical Consumer Research Association(エシカルコンシューマー・リサーチアソシエーション)が開催する『Lush Prize』。同活動では毎年、動物実験に頼らない研究や実験、活動をいくつかの分野に分けて表彰している。
『Lush Prize』は、2022年で2012年に設立してからちょうど10回目を迎えた。2022年は8カ国、10プロジェクトの組織や科学者らを表彰。プロジェクトついては『Lush Prize』の特設ページで公開している。
また現在の規制や賞の多くは「3Rの法則」を軸にしたものが多いなか、LUSHはその中でも動物を使用しない「Replacement(代替)」活動のみを評価する。
LUSHが目指すのは、実験によって犠牲になる動物がいなくなり、全ての動物が動物らしい生き方をできる世界。「全ての動物実験が廃止するまで活動を続ける」と宣言する彼らの活動を、これからも応援していきたい。