医療とテクノロジーを融合した不妊治療専門クリニック 「torch clinic」をプロデュースする株式会社ARCHが、東京大学エッジキャピタルパートナーズ、ANRI、XTech Venturesを引受先として、シードラウンドで約2.3億円の資金調達を実施した。
torch clinicは、2022年5月に開院した不妊治療専門の医療機関。患者は専用アプリで予約・事前問診・決済までを行うことができ、さらに院内処方を受けられる。これにより、在院時間を削減して通院の負担を大きく軽減している。また、多くの人に不妊治療についての適切な知識提供するために、婦人科や生殖医療の専門医が監修した記事をホームページで発信している。
婦人科・不妊治療診療において、患者が認知する段階から病院内での体験まで一気通貫して提供するのは業界初の取り組みだ。
日本では、晩婚化に伴い不妊症のカップルは年々増加している。厚生労働省によると、現在夫婦全体の約5.5組に1組が実際に不妊の検査や治療を受けたことがあるという。さらには、働きながら不妊治療を行っている人のうち、34.7%は仕事との両立に悩んでいるとされる。
また、不妊治療を受ける患者の年齢は43%が40歳以上となっており、治療開始が遅くなっていることも課題だ。性教育が不十分で、身体や妊娠についての正しい知識を得る機会が少ないことが原因と考えられる。
不妊治療が保険適用になりアクセスしやすくなってきた中で、適切な情報を提供することや、通院しやすい環境をつくることが鍵となるだろう。
torch clinicは、こうした課題を、医療DX化を推進し医療技術とテクノロジーを融合させることを通して解決しようとしている。
今後は、調達した資金を用いて、医療機関内システムや患者向け受診アプリ等のプロダクト開発と経営基盤の強化などに取り組んでいく予定だという。 特に、現状のアプリをさらにアップデートし、ユーザー自身だけでなくパートナーとも治療に取り組みやすくなるよう、治療の内容や経過、受精卵の培養情報について管理できるアプリを目指していくと発表している。
出産は、人生において重要な選択肢の1つだ。torch clinicを通して、妊娠を望む人の選択肢が増えることに期待したい。