妊活をはじめたとき、世界の中心が妊娠になった。それまでどうでもよかった体温の推移や、生理前のちょっとした身体の変化が脳内の一部を占領し、少しでも違うところがあれば、「こ、これは妊娠超初期症状では……。」なんて悶々と考え、ついフライング検査して妊娠検査薬を消費していく。

妊活は、どんなに順調でも、悩ましいものだ。もしそれが順調じゃなかったとしたら、悩ましいなんてものじゃない。

不妊治療の悩みを共有できない

2015年の調査では、結婚15~19年の夫婦のうち、15.6%が不妊治療の経験があるという(国立社会保障・人口問題研究所、出生動向基本調査より)。精神的にも、体力的にも、金銭的にも負担の大きい不妊治療だが、その悩みを相談、共有できる場はなかなかない。

妊活の相談を実際の交友関係のなかでするのは、なかなか難しい。また、ひとくくりに不妊治療といっても、治療内容によって抱える悩みも違う。

こうしたデリケートで複雑な妊活の悩みを、同じ境遇の人と、匿名でシェアできるマッチングサービスがある。それが「coel(コエル)」だ。

治療の経験を活かしてマッチングサービスを考案

コエル株式会社代表の伊藤ひろみさんは、自身も不妊治療経験者。結婚直後に夫婦で行ったブライダルチェックで男性不妊の診断を受けたという。その後、東京・ロンドンで約3年間の不妊治療を行い、その中で経験した孤独感や絶望感を基に、不妊患者の立場に寄り添ったIT関連サービスの提供を行うことを決意した。現在は、治療で授かった一歳児の育児と2人目不妊の治療、そして仕事の両立を目指し、日々奮闘しているそうだ。

妊活の悩みや情報をオンラインで共有

コエル内で形成されるコエル・コミュニティでは、会員登録時に居住地、年齢、通院する病院の名称やこれまでの治療内容・症状(タイミング法、人工授精、男性不妊など)を入力。通院先をまだ決めていない人や男性も参加可能だ。

加えて、“二人目不妊”、“低AMH”など不妊治療に関わる参考情報や、“カフェ好き”、“気晴らしは買い物”など趣味や嗜好などの情報のタグを入力し、治療情報のみならず簡単なプロフィールから気の合いそうな仲間を見つけ、友達申請することが可能。

友達申請が承認された後は、第三者からは閲覧できないダイレクトメッセージ機能にて直接情報交換を行えるというのも安心だ。同じ病院に通っている場合や近隣に住んでいる場合は、何度かのやり取りの後、実際に会って話してみてもいいだろう。

妊活仲間を作る機能に加えて、治療スケジュール・内容を記録するスケジュール機能も用意されている。今後は、おすすめの友達を提案する機能や、専門家に相談できる機能などを随時追加していく予定だという。

コエルのサイト内では病院の口コミや、治療情報や体験記、妊活レシピも見ることができる。今、妊活で悩む人も、これから妊活をはじめる人も必見のサービスになりそうだ。