デジタル庁は2022年11月11日、Webサイトやアプリの開発時に一貫したデザインにできるよう情報をまとめた「デザインシステム」を公開した。デザインシステムは、良いデザインを一貫性をもって提供するための仕組みとして近年デジタルプロダクト開発の現場において注目を集めている。

通常は同一サービス内での一貫性を保つために用いられるデザインシステムだが、デジタル庁はこれをオープンにアクセスできるものにした。そうすることで、デザインシステムの認知向上や改善につなげる狙いだ。主な目的は各省庁への適用だが、行政の開発するWebサイト・アプリをよりユーザーが使いやすいものにしようと取り組む地方自治体にとっても有用だ。

デジタル庁のデザインシステムが公開されたのは、デザインコラボレーションツール「Figma」上だ。利用の手引きにはじまり、色使いや使うフォントをまとめた「スタイル」やボタンなどの仕様をまとめた「コンポーネント」、個人情報を入力する欄などのサンプルUIをまとめた「テンプレート」など、Figmaの機能を活用して掲載している。

ヤフーの社長を務めたあと、東京都の副知事に転身した宮坂学氏は、今回のデジタル庁の取り組みは行政における「車輪の再発明」をなくすことにつながると評価する。

政府は「デジタルの活用により、一人ひとりのニーズに合ったサービスを選ぶことができ、多様な幸せが実現できる社会~誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化~」を掲げており、総務省は地方行政のデジタル化に向けた各施策に取り組んでいる。人が使いやすいサービスを実現する上で、デザインの観点は不可欠だ。だが、一つひとつの行政がデザインに十分に投資することは難しい。今回のデジタル庁による取り組みが、行政のデジタル化の一助になるのではないだろうか。