1948年のWHO憲章にて「肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」を指す言葉として用いられた「ウェルビーイング」は、近年様々な場面で用いられるようになった。

ウェルビーイングは個人だけでは成立しない。ウェルビーイングであるためには、自らをとりまく様々な要素とのかかわり方を含めて向き合っていかなければならない。Deep Care Labがウェルビーイングを「私たち」ごと化しているのは非常に共感するところだ。

とりまく環境において人類が無視できないのは気候危機の問題だ。いくら個人がウェルビーイングでありたいと願っても、地球環境という要素が脅かされていればウェルビーイングではいられない。とはいえ、気候危機を人間のスケールで捉えることもまた難しい。

Deep Care Labは、わたしたちのウェルビーイングを考える視点として「自然・生きもの」「人工物・モノ」「過去・先祖」「未来世代」の4モジュールを挙げている。各モジュールが、暮らしの見方を変える実験ワークショップと、ゲストのトーク&対話で構成され、参加者同士の交流により、日々の気付きや疑問を共有していくという。

これらのモジュールにそってあり方を問い直してみるだけでも、わたしたちのウェルビーイングについて考える良い機会になりそうだ。幅広いテーマを扱うこともあり、ゲストも現代美術家の大小島真木さん、アイヌ語研究者の中川裕さん、僧侶/現代仏教僧の松本紹圭さん、哲学者の戸谷洋志さん(戸谷さんは本媒体にも度々寄稿いただいている)などユニークな顔ぶれだ。

Deep Care Lab代表の川地 真史さんは「Weのがっこう」の開催について、このように語っている。

Deep Care Labでは、今を生きる人間に閉じず、過去や死者、未来と子どもたち、自然環境や生きもの、人間が生み出す人工物まで関係をひろげて、これからの時代の人間性に必要な想像力を模索しています。今回リリースした「Weのがっこう」は、その一歩として、広い”わたしたち”の射程から、わたしのよきあり方としてウェルビーイングを探求する場。

気候危機に直面する現代に、「今ここにいるわたしだけがよい」は限界がある一方、我慢するのもなんか違う。”わたしたち”を広げて考えることは、綺麗事だけでは行かないこともたくさんあるから難しい。でも、その複雑さを引き受け、前へ進む。そんな場にしたいと思っています。

仏教やアート、哲学、アイヌ文化まで、多様な視点から”わたしたち”を捉え直し、あり方に向き合い、コトへつなげていく。でも、ぼくたちも答えを持ち合わせていないので、仲間を集いたい。ともに学びと実験をつくっていきたい方々に、ご参加いただければ嬉しいです。

今回、「Weのがっこう」が募集しているのは第0期生。開催に向けて説明会を兼ねたプレイベントを開催予定となっている。プレイベントには、ドミニク・チェンさん一般社団法人Ecological Memes代表理事の小林 泰紘さんがゲストとして登場予定だ。

「わたしたちのあり方」について考えてみたい人は、この機会に参加してみてはどうだろうか。