プレイフルさが求められる時代に、僕たちはどう生きるか

オランダの歴史学者ヨハン・ホイジンガは、遊戯が人間活動の本質であり、文化を生み出す根源だとする人間観「ホモ・ルーデンス」を提唱した。この提唱から80年以上が経過して、僕たちはどれだけ遊んでいるだろう、どれだけ文化を生み出せているだろう。

社会は豊かになったり、便利になったと言われたりしているけれど、なんだかずいぶん窮屈に生きている人が多いように思う。それは、人間活動の本質である遊びが足りないからではないだろうか

『プレイフル・シンキング』『プレイフル・ラーニング』の著者である上田信行さんは、「プレイフルな状態、すなわち人がワクワクしながら物事に夢中になるときというのは、多少の困難にあってもポジティブに乗り越えていこうとするエネルギーにあふれている」と述べていた。

社会の変化が加速し、学び続けることの重要性が高まり、選択肢が多様化して主体的に生き方を選ばざるをえなくなった時代において、プレイフルな状態であることは重要だ。仕方なしにやらされているのではなく、学びも、仕事も、暮らしさえも、主体的に自分がワクワクして選んでいける状態が望ましい。

気をつけておかなければならないのは、プレイフルというのは、楽しさや好きなことともまた異なる。現代ゲームスタディーズの第一人者、ミゲル・シカールの著書『プレイ・マターズ 遊び心の哲学』では、遊びとはときに苦しさを伴うということに触れていた。残念ながら生きる上で問題や苦悩が尽きることはない。それすらも楽しんで生きるためのヒントが、プレイフルにはあるのではないかと思うのだ。

人は子どもの頃、誰しも創造的でプレイフルだった。なぜか、成長していく過程で、それが削ぎ落とされてしまう。「デザイン思考」というツールを使って人の「創造する自信(Creative Confidence)」を取り戻そうとしたのが、スタンフォード大学dスクールの創設者でもあるデイヴィッド・ケリーと、その弟でIDEO共同経営者のトム・ケリーだった。プレイフルさを取り戻すための動きは世界各地にあふれている。あとはそれらにアクセスし、実践するのみだ。

僕たちは、遊び心が求められる時代に、いかにしてプレイフルなマインドセットを獲得していくべきなのだろうか。今回のイベントでは、遊ぶ生命(アニマ・ルーデンス)としてのあり方を考えることを通じて、消費活動ではなく、生産活動としての遊びについて考えてみたい。それが次の文化を生み出すことにつながっていくと思うからだ。

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ゲストプロフィール

丑田俊輔 ウシダシュンスケ
ハバタク株式会社 代表取締役

千代田区の公共施設をまちづくり拠点として再生する「ちよだプラットフォームスクウェア」、日本IBMの戦略コンサルティングチームを経て、2010年にハバタクを創業。新しい学びのクリエイティブ集団として、国内外の様々な領域を横断しながら「共創的な学び」を生み出す。
高校・大学向けのグローカルリーダーシップ教育を展開する「タクトピア」、地域に根ざした起業家を育む「ドチャベン」、古民家を舞台に地域をつなぐ「シェアビレッジ」、まちの遊休施設を遊び場化する「ただあそび場」、人と事業と文化がそだつビル「錦町ブンカイサン」等。
秋田県五城目町在住。

ハバタク株式会社ウェブサイト:http://habataku.co.jp/
ただのあそび場ウェブサイト:http://tadanoasobiba.jp/

舘野泰一 タテノヨシカズ
立教大学経営学部 特任准教授

1983年生まれ。立教大学経営学部 特任准教授。青山学院大学文学部教育学科卒業。東京大学大学院学際情報学府博士課程単位取得退学後、東京大学大学総合教育研究センター特任研究員、立教大学経営学部助教を経て、現職。博士(学際情報学)。大学と企業を架橋した人材の育成に関する研究をしている。具体的な研究として、リーダーシップ教育、越境学習、ワークショップ、トランジション調査などを行っている。

tate-labウェブサイト:https://www.tate-lab.net/mt/
Twitter:https://twitter.com/tatthiy

イベント概要

開催日程

2019年7月30日(火)19:30-21:30

開催場所

co-ba jinnan(東京都渋谷区神南1丁目20−2 第一清水ビル 3F

参加費

3000円(1ドリンク付)

定員

30名

チケット購入

URL:
https://unleash-event09.peatix.com/