アパレルショップのディスプレイに並ぶたくさんの服。それは、自分を表現する手段だと思う。私にとって服は、選ぶもの。

けれども、世の中には誰かが作った服では満足できない、自分が良いと信じる服を作ることに情熱を注ぐ人たちがいる。彼らの情熱が後押しされ、もっと多様な服を生み出すことができたなら。それを身に纏う私たち自身も、より豊かに、細やかに、自分を表現できるかもしれない。

衣服生産プラットフォーム「sitateru」を提供するシタテル株式会社は、衣服の生産一体型コマース「SPEC(スペック)」の提供を発表した。2018年4月より、大手セレクトショップやファッションブランドへの提供が開始される。

「sitateru」が浮き彫りにした、アパレル業界の課題

「小ロット・高品質・短納期」で衣服を生産できるプラットフォーム「sitateru」。技術力の高い縫製工場、生地・資材メーカー、二次加工工房など全国の事業者と提携し、ブランドの予算・品質・納期に合わせ最適な生産体制を構築できるサービスだ。

事業に取り組む中で、トレンドサイクルが早い現代のマーケットにおいて、商品企画時点では店頭に並ぶ約6ヶ月後の売行き予測が難しく、商品の大半がセール品や余剰在庫になってしまっているアパレル業界全体の課題が見えてきたという。

生産と受注を逆転し、小売りのあり方を再構築する新サービス「SPEC」

今回提供を開始する「SPEC」は、Web上に特設ページを作成し、受注から生産までをワンストップで管理できるECシステム。受注数の確定後、「sitateru」で培われた提携サプライヤーに簡単に生産依頼をかけることが可能となる。

「必要なものを必要とする人の数だけつくる」ことにより、ブランドは在庫リスクと生産管理コストを排除し、新しい商品企画に積極的に挑戦することができる。

「SPEC」の特設ページでは、商品のストーリーや制作工程を写真や動画などのコンテンツとして発信できるほか、集まったオーダー数に応じてリアルタイムで価格が変動する、消費者参加型の価格決定システムなど、ユニークな仕組みが導入される。

商品は一定期間のみの定価限定販売となるため、いつでもどこでも同じものが買えてしまう現代において、「いま、ここでしか買えない」ショッピング体験を提供できる。

「SPEC」は、「在庫リスク」というものづくりの根本的なネックを解消することにより、あらゆるプレイヤーが新たな商品に積極的に挑戦できる社会の実現を目指す。
これからアパレルブランドの立ち上げを目指す潜在層に対して、業界への新規参入を後押しするだろう。アパレル業界全体の活性化につながることを期待したい。