チャットボットを開発するスタートアップ、ZEALSがフリークアウトから約8000万円を資金調達した。合わせて、メディア向けMessengerボット管理ツール「fanp」、チャットボットマーケティングツール「fanp Biz」の提供も開始した。

ZEALSは、2016年5月にチャットボット開発運用フレームワーク「BOT TREE」の運営を開始した。リリースから約1年が経過し、株式会社イードの「レスポンス Messenger マガジン」や株式会社エン・ジャパンの「CAREERHACK Messenger マガジン」をはじめ、累計400社を超える企業が同サービスを利用している。「BOT TREE」は、「fanp」へとリニューアルし、新たなスタートを切った。

fanpは、各メディアがファンに記事を届けたり、コミュニケーションを行うチャネルとしてFacebook Messengerを活用できるCRM。チャットボットを活用して更新情報を通知できるだけではなく、ユーザー情報を管理することも可能だ。

記事の更新情報を届ける

管理画面からユーザーの情報がわかる

これまでにfanpを導入した事例の中には、メルマガに比べ開封率15倍、クリック率13倍、離脱率8%以下という成果を出しているという。fanpは、Facebookアカウントの情報を参照することもでき、メルマガや他のチャットボットとくらべてCRMとして活用するメリットが大きい。

ZEALSは、無料から使えるfanpだけではなく、よりマーケティングに活用したい人々向けの「fanp Biz」プランも発表している。

fanp Bizは、ボットでランディングページを代替していくことを目指している。訪問者にページを読み込んでもらうのではなく、チャットボットを起動し、会話を行っていくことで訪問者の疑問に答え、コンバージョンにつなげていく。

サービスの紹介から申し込みまでをチャットボット上で完結させるためのサービスで、Facebookというプラットフォームを活かして、Facebok広告とMessengerのチャットボットとを連携させることで、チャットボットへの集客から、チャットボット上のCVR向上まで取り組めるプランになっている。どんなサービスなのかは実際に、ボットに説明してもらうのがいいかもしれない。

「Bizでは複雑な会話シミュレーションを実現しているため、まだセオリーがない状態です。ZEALSでは会話組みを行うことで、CVRを改善していこうとしています」

チャットでのコミュニケーション中に、ユーザーがトリガーを踏めば、fanp Bizで用いるコンバージョンのための会話をスタートさせるといった、コミュニケーションアドの可能性もある、とZEALS CEO 清水氏はこの先の展望を語ってくれた。

fanp BizのプランはZEALSに出資をしたフリークアウトとのシナジーも見込まれる。ZEALSは、フリークアウトグループと連携し、技術連携、営業協力、海外展開等、包括的に協業しながら 「fanp」事業の拡大を図る。

左から フリークアウト・ホールディングス 代表取締役 佐藤氏、 同社 執行役員 明石氏、 ZEALS CEO 清水氏、 フリークアウト・ホールディングス 代表取締役 本田氏

今回、資金調達を実施したZEALSは、開発力の強化に加えて、事業推進、マーケティング、バックオフィス、その他諸々の業務を運営できる総合チームにすべく人材投資を行っていく。同社が見据えているのは、海外への展開だ。Messengerは世界で12億人が利用しているサービス。同プラットフォーム上で利用されるサービスを作ることができれば、世界へと出ていける可能性も大いにある。

fanpを通じて「メディアと一緒にビジネスモデルを作っていきたい」と清水氏は語る。複数のメディアはカバーする範囲を絞り、読者とのつながりを強化し、読者データの管理を行う方向へと進み始めている。fanpはこうしたメディアたちにとって、追い風となりそうだ。

「ニッチが儲かる仕組みを作らないと多様性を許容できなくなってしまいます。多様性と個の時代が進んでいく上で、これは大きなテーマ。fanpはそのテーマに真っ向から挑んでいけるのではないかと思っています。ファンをかかえる会社がちゃんと回っていく世界を作れたらいいですよね」