株式会社LEARNieは、本日オンライングループ英会話サービス「LEARNie(ラーニー)」をリリースした。同社はイグニション・ポイントのグループ会社であり、ラーニーのロゴデザインやサービス開発はPOINT EDGEが行っている。

ラーニーは、グループ通話で小学生の生徒たちが英語レッスンを受けられ、日本人の先生が授業を開講するグループ英会話のサービスだ。単に教材を用いるだけではなく、子どもたちが楽しく学ぶことができるよう、アクティブラーニングやゲーム形式アクティビティを取り入れ、好奇心を刺激するなどの工夫を採り入れている。

受講する際は、バイリンガルの日本人の先生が講師を担当し、毎回同じ先生が授業を行う。子どもたちは先生とも仲良くなることで受講するモチベーションがわき、先生も子どもたちにときには日本語で話しかけることで子どもたちの発話を促す。

レッスンだけではなく、動画形式のホームワークなども実施し、子どもからは形式は自由で宿題を提出してもらう。レッスン以外にもコミュニケーションできるようにすることで先生との仲を深め、継続して学んでいくために成長を実感する機会を設ける狙いだ。

既存の英会話サービスで解決されない点をクリアする

多くのオンライン英会話サービスは、教師と1対1で授業を受けたり、しっかりとスキルを伸ばすことを目標にサービスが提供されているため、習い事をする子どもたちが楽しさを見出しにくい。この点をラーニーは変えようとしている。

実際にレッスンを受けている様子

では、オフラインの英会話サービスとの違いはどうだろう。オフラインの英会話スクールであれば、ラーニーが掲げるような子どもたちが楽しめる英会話体験を提供するところもある。だが、問題は”送り迎え”だ。

現代の子どもたちは習い事で忙しい。保護者も送り迎えするだけでも負担となってしまう。ラーニーであれば自宅からレッスンが受講可能であるため、共働きや小さな弟妹がいる家庭でも、負担なく続けることが可能だ。

小学校の英語教育の課題を解決する

2020年に向けて外国語教育が教科化され、数学や国語と同じ扱いとなる。だが、既存の学校教員は英語を指導することに自信がない。これでは子どもたちが、小学校の授業で楽しみながら英語力を伸ばすことは難しい。

株式会社LEARNie 代表取締役社長の南部洋志氏は、ラーニーが子どもの英語教育だけではなく教育自体にも課題を感じているという。

「子どもたちが楽しく学び、成長するためのアクティブ・ラーニングコミュニティを作ることが必要だと感じています。先生が生徒から発言を引き出すファシリテーションを行い、地方の子どもたちが離れた場所にいる子どもたちと出会い刺激を受ける。現在、ラーニーには上海から授業を受けている子どももいます」

南部氏がラーニーを提供する動機のひとつに、地方にいる人達にもいい教育を届けたいという想いがある。南部氏自身、長崎の離島、壱岐で育ち、18歳までは学習の多様性がなかったと当時を振り返る。

部活の大会等で各地の同世代に会うことで南部氏にとっての学習の多様性が増し、変化につながったそうだ。他の地域に暮らす同世代と知り合うことも、ラーニーで創出しようとしている価値のひとつ。

アクティブ・ラーニングの質をオンラインで上げる

「現在のサービスは、学習意欲が高い人向けのものばかり。全体を底上げしていくためには、学習意欲があまり高くない人向けのサービスも必要です。ラーニーでは、どれだけ人々のモチベーションや学習意欲を高められるかにこだわっています」

これまで、リコー、ATカーニー、グロービスというキャリアを経て、学習に関することに取り組んできた南部氏が感じていることは、「リアルでできることはオンラインでもできる」ということだ。ラーニーにおいても、問いかけを行い、生徒の発言を引き出すことでモチベーションが上がる様子を確認できたという。

こうした経験から、南部氏はアクティブ・ラーニングの質をオンラインで上げることは実現可能なのではないか、と考えている。今後、ラーニーはアクティブ・ラーニングのアプリを開発するなど一気通貫でサービスを提供していくことを検討しているそうだ。

「オンラインでは授業の状態の把握ができ、データで映像を得られます。表情や態度など、様々なデータを学習の質を上げるために活用していけるはず。今後は、大学の教授に相談したり、産学連携をしていくことも視野に入れています」

将来的には、複業で働きながら教える先生が出て来るなど、先生の幅を広げていくことも考えているそうだ。南部氏はスキルの授業だけではなく、キャリア教育などにも領域を広げることを考えている。

「教えることがもっとカジュアルになったらいい」−−そう南部氏は語る。各地で市民大学や地域大学等が登場しており、誰もが先生になり、誰もが生徒になれるような場が生まれている。こうした環境をオンラインで創り上げていくことがラーニーの目指す先なのかもしれない。