東急不動産株式会社は、分譲マンションとシニア住宅の複合開発を行う「世田谷中町プロジェクト」において、超高齢社会の大きな課題である「認知症」の「予防とケア」、両方のサポートを充実させるプログラムの構築を目指しており、2017年4月には「認知症にやさしいデザイン」のケアレジデンスが完成した。
同ケアレジデンスは「グランクレール世田谷中町」内に位置し、順天堂大学と包括的連携を行い、英国スターリング大学認知症サービス開発センター(Dementia Services Development Centre、以下DSDC)と業務提携を行い「認知症の方にやさしいデザイン」を取り入れている。
順天堂大学との業務提携では、認知症の「予防」という観点で健康寿命を伸ばす“認知症予防プログラム”を入居者に提供。順天堂大学大学院スポーツ健康科学研究科の内藤久士教授と町田修一先任准教授と協力し、シニア住宅「グランクレール」において、「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」の予防に向けた「ロコモ予防プログラム」を導入した。
認知症の「ケア」という観点では、DSDCと連携してソフトとハードの両面から課題の解決に向けて取り組みを行っていくという。DSDCは英国北部スターリングに位置する、認知症の人々が暮らしやすい環境づくりのための様々な専門的知見を有する大学付属の研究機関だ。
DSDCは、認知症に関する様々な側面において包括的で最新の情報を提供するために、世界中の研究や実践例を蓄積。25年以上にわたって、医療の専門家、建築家、デザイナーからなる多職種のチームによる認知症にやさしいデザインの重要性を広めている。ケアやデザインを通して認知症の人が暮らしやすい環境をつくるため、地域を巻き込んだ認知症にやさしいコミュニティを確立させるため、認知症の人々のための政策提言やサービス向上のため、これまで様々なプロジェクトに取り組んできた。
DSDCの考える認知症にやさしいデザインとは、住んでいる人をより満足・自立させるものであり、「転倒の危険性や、ストレス、興奮、混乱、不穏、見識障害等本人が不安や混乱する状態を減らすもの」。これまでにDSDCのデザインが導入された施設の結果から、認知症の方に良い影響をもたらすという効果が出ているという。