メディアのルールは「誰が決めるか」が重要

調査で注目すべきは、メディア利用そのものではなく「ルールの決め方」がウェルビーイングに直結しているという点だ。

保護者とよく話し合い、納得のうえで自分でルールを決めている子どもは、生活満足度84.0%、自己効力感77.4%と、すべてのグループのなかで最も高い数値を示した。一方、保護者がすべて決めている層やまったく意見を言えない層では、満足度が大幅に低下している。

メディアの使い方だけでなく、決定のプロセスに子どもが参加できているかどうかが、子どものウェルビーイングを左右する——この調査結果は、大人が一方的にルールを設ける従来型のアプローチに再考を促すものだ。

約半数の子どもが情報のバイアスに気づいている

もうひとつ興味深いのが、子どもたちの情報リテラシーに関する調査結果だ。

48.4%がフェイクニュースの存在を認識し、37.2%がルッキズム的な偏見にも敏感に反応していることがわかった。子どもたちはメディアの情報を受動的に受け取るだけでなく、批判的に捉える力をすでに持ち始めている。

また、休日にメディアを6時間以上利用する層では、「たのしい」「安心する」といった肯定的な感情が高い一方で、「時間を盗まれる」「嫌な気持ちになる」といった回答も10〜20%程度みられた。楽しさと心理的負担が表裏一体となっている実態も浮き彫りになっている。

子どもとメディア関係者が対等に語り合う場

本プロジェクトでは定量調査に加え、子どもとメディア関係者が対等な立場で語り合う全4回の連続勉強会も実施された。

対話のなかで子どもたちからは、大人の都合で価値観を押し付けるのではなく自分たちの声が尊重される情報環境を求める声や、不安ばかりではなく希望を感じられる情報を届けてほしいという願いが語られたという。

こうした対話を通じて、メディア関係者の側からも「一方的に伝えるメディア」から「ともにつくるメディア」への転換の必要性が共有された。

「管理」か「自己責任」かを超えて

デジタル環境をめぐる議論は、「大人が子どもをどう制限するか」という管理の視点か、あるいは自己責任の視点に偏りがちだ。Everybeingのプロジェクトは、子どもを保護の対象としてだけでなく「権利の主体」として捉え直し、子ども自身の声を聴きながらメディアのあり方を考えていくという姿勢に立っている。

代表の小澤いぶき氏は、来年度に向けて子どもや専門家と協働しながら「メディアの情報発信ガイドライン(手引き)」を作成していく方針を示している。子どもの権利とウェルビーイングに根ざしたメディアのあり方を、大人と子どもがともに探っていく。その出発点となる調査レポートだ。