都市部での住まい確保が困難なひとり親世帯を支援

近年、賃料の高騰や公営住宅の減少により、DVや離婚などで住居を失った経済的に困窮するひとり親世帯が都市部に住まいを確保することは極めて困難な状況となっている。この社会課題に対し、りそなグループのりそな不動産投資顧問と株式会社LivEQuality大家さんの2社は金融と住宅という異なる分野の専門性を組み合わせた革新的な解決策を打ち出した。

両社は、ひとり親世帯を対象としたアフォーダブルハウジング分野での国内初のインパクトファンド組成を決定。2025年10月下旬には名古屋市内の約10億円規模の共同住宅を取得し、運用を開始する

アフォーダブルハウジングとは、中低所得層でも無理なく賃借できる市場価格よりも手頃な価格の住宅を指し、インパクトファンドは社会的・環境的な課題解決と同時に財務的リターンを追求する投資ファンドのことを指す。

住宅提供と経済的自立支援の両輪でサポート

りそな不動産投資顧問は、りそな銀行の100%子会社として不動産アセットマネジメント業務を担当する。一方、LivEQuality大家さんは、株式会社LivEQuality大家さんと認定NPO法人LivEQuality HUBで構成されるLivEQualityグループの一員として、アフォーダブルハウジングの運営やひとり親世帯への伴走支援のノウハウを蓄積してきた実績がある。

今回組成されるインパクトファンドの特徴は、単なる住宅提供にとどまらない包括的な支援体制にある。ひとり親世帯に対しては、快適で通勤利便性の高い都市部の住宅を市場価格より低い賃料で提供する。これにより、ひとり親が安心して仕事と子育てを両立できる環境を整備する。

さらに、入居後は認定NPO法人LivEQuality HUBが継続的な支援を実施する。同NPO法人は非正規雇用等で生活の安定が求められるシングルマザー家庭を支援対象としており、キャリアや生活に関する相談対応や適切な支援機関の紹介を通じて、ひとり親の経済的自立を後押しする体制が構築される。

ひとり親支援型インパクトファンド組成のモデル図

持続可能な社会実現に向けた新たなモデルになるか

このインパクトファンドでは、経済的リターンの追求と並行して、社会に与える影響の測定と報告も重視している。機関投資家等の出資者に対しては、ひとり親世帯の受入数や経済的に自立した世帯数などの社会的インパクトを定期的にレポートする仕組みを導入する。

これにより、投資家は財務的な収益性だけでなく、自らの投資が社会課題解決にどの程度貢献しているかを具体的な数値で把握できるようになる。こうした透明性の高い報告体制は、ESG投資への関心が高まる中で、投資判断における重要な指標となることが期待される。

今回のファンド組成は、民間企業と非営利組織が連携し、社会課題解決と事業性を両立させる新しいビジネスモデルの実践例として注目される。ひとり親世帯の住まいの課題は全国的な社会問題であり、今回の取り組みが成功すれば、他の地域や企業にとっても参考となる先行事例となる可能性が高い。

両社は持続可能な社会の実現を目指すとともに、このファンドの運用を通じて得られる知見やノウハウを活用し、今後さらなる社会課題解決型の事業展開を図ることで、より多くのひとり親世帯の暮らしをサポートしていく方針だ。