犯罪予測システムを開発・提供する株式会社Singular Perturbationsが、ブラジル連邦共和国に子会社を新たに設立した。同社は、これまでに高精度・高速な独自手法を含む犯罪予測アルゴリズムをもとに、犯罪予測システム「CRIME NABI」を開発し、そのサービスを警察や政府機関向けに提供してきた。今回のブラジルにおける子会社の設立は、治安課題に対してニーズの高いブラジル連邦共和国における警察や政府機関への同社のプロダクトの導入を支援するためだ。

CRIME NABIは過去の犯罪発生情報や人口統計、土地利用データ、天気などのデータに基づき、2種類の独自アルゴリズムをもとに犯罪予測をおこない、さらに犯罪が発生しやすいと予測された場所を重点的に警備するルートを策定する。

2種類のアルゴリズムは、時間情報による予測と、空間情報による予測。犯罪者は一度犯行に成功すると同じ手口を繰り返す傾向にあり、同社は犯罪の時間的なパターンを記述できるモデルに対して理論物理の定式化を適用することで、データ件数が少ない犯罪についても安定した計算が可能となり、高精度な予測を達成。

また、過去の犯罪や人口密度などのさまざまな時空間パターンの足しあわせで、未来の犯罪パターンを記述できるモデルを採用。こうしたモデルの計算には通常大きなサイズのデータを用いるため、非常に計算コストが高いことがボトルネックだった。Singular Perturbationsではデータを事前圧縮する独自の数理アルゴリズムにより、従来手法と比較し圧倒的な計算時間の高速化・軽量化を達成しているという。

東京都のオープンデータを用いた犯罪予測ヒートマップ