IT分野のジェンダーギャップ解消を目指す特定非営利活動法人Waffleは、オンラインイベント「Waffle Festival」を、2022年12月16日(金)と17日(土)に開催する。イベント参加の対象者は、企業(経営層・DE&I推進担当者、人事担当者など)および女子・ジェンダーマイノリティの中高生・大学生・大学院生となっている。

1日目は、企業や女子学生を対象に、ESGやDE&I(Diversity, Equity and Inclusion)をテーマとして国内の先進的な企業の取り組みを紹介する。2日目は、主に女子学生を対象に、現役エンジニアなど実際のロールモデルを紹介し、ITに関する仕事の具体的なイメージやキャリアについて知る機会を提供する。

イベント1日目のタイムスケジュール

イベント2日目のタイムスケジュール

IT分野におけるジャンダーギャップの問題

「Waffle Festival」の背景には、日本のIT分野におけるジャンダーギャップの問題がある。PISAなどの国際的な学力調査の結果を見ても、「女性は理系科目が苦手である」という事実は存在しない。

Waffleのリリースによれば、科学・工学分野の職業を希望する女子生徒が3.4%と言われ、OECD加盟国では最低の水準だという。その背景には、「女性は、理系分野や技術職には向いていない」という根強い先入観や、身近にロールモデルとなるようなIT業界で活躍する女性がいないという課題がある。

今回のイベントは、これから進路選択を行う女子学生が、ロールモデルに触れることでジェンダーバイアスから脱却し、「自分もIT分野に挑戦してみたい」と思うきっかけとなることが期待される。
また、企業側も、ジェンダーギャップの課題を認識し、先進的な企業の取り組みから学び、自社のDE&Iのあり方を見つめ直すことができるだろう。女子学生と企業の両方にアプローチできる取り組みだ。

業界でDE&Iの先進事例にふれる重要性

少子高齢化による労働人口減少が進む中で、女性が働きやすい環境を整え、女性活躍を後押しする動きは、IT業界に限らずますます重要になっている。しかしながら、日本社会全体で女性活躍が実現されているとはまだまだ言えない状況だ。

実際に、内閣府の調査によると、男女の地位の平等感について「男性の方が優遇されている」と答えた人の割合は74.1%であり、女性の管理職や役員の割合も諸外国に比べ大幅に低いという。こうした状況の中で、新しい取り組みを行いやすいIT業界において、DE&Iの先進事例をつくっていくことの意義は大きいのではないか。また、ジェンダー間の格差を生まないようにするという観点からも、社会の基盤となっていくIT分野において、その担い手が多様であることは非常に重要になる。

そのためにはまず、女子学生や企業にこうした課題が認知されることが必要だ。今回のイベントを通して、多くの女子学生のキャリア選択の幅が広がるとともに、多くの企業がIT分野におけるジェンダーギャップの課題に関心をもち、一体となって業界全体のDE&Iを推進していくことに期待したい。