旅をしながら働く人のための医療保険
『Safety Wing』は180ヵ国で利用できる医療保険サービスだ。1ヶ月の保険料は、18歳から39歳なら約37ドル。アメリカに滞在する場合のみ、医療費が高額になるため月額約67ドルだ。
上限額は1年間で250,000ドルに設定され、入院や緊急治療、救急車、緊急歯科治療、理学療法や整体も保険対象に含まれる。荷物の紛失や遅延などをカバーする旅行保険も同時に加入できる。
海外向けの医療保険は出発前に申し込みが必要なものも多いが、『Safety Wing』は出発後、滞在先から登録できる。事前の健康審査などはなく、以下のフォームを埋め、支払い情報を入力するだけで登録が完了する。
登録後は28日毎に自動更新される仕組みだ。生後14日から10歳までの子どもは無料。10歳以上の子どもであっても大人1人につき1人、1家族につき2人までは無料で利用できる。
他のサービスに比べて月額費用は低く抑えられている。ファウンダーのSondre Rasch氏いわく、加入者のほとんどが健康な若者のため、現状の料金でビジネスが成り立っているという。
国家に囚われないセーフティーネットをつくる
Sondre Rasch氏は、ノルウェー議会で政策顧問として、労働や社会領域の政策に携わっていた。その後、フリーランスとして働いた後『Safety Wing』を起業。昨年出演したポッドキャストで、グローバルな保険が必要な理由を次のように語っている。
Rasch氏「従来は、人が1つの国の労働市場で働くという前提のもと、国家が保険にまつわる仕組みを設計していました。しかし、今は多くの人がインターネットを介し、国を超えて働いています。物理的なオフィスに縛られることなく、自由に住む場所を選べる時代だからこそ、グローバルな仕組みが必要だと思っています」
Rasch氏が目指すのは、「Living Anywhere」の時代にふさわしいセーフティネットを築くことだ。彼はスピード感と柔軟性のあるスタートアップが、国家の手が届いていない領域において、より優れた仕組みを提供できると考えている。
これまでは、政府が中心に、一つの国に住み続けることを前提にしたセーフティネットを築いてきた。しかし、今後はその仕組みからこぼれ落ちる人も増えていくだろう。彼らに対して、スタートアップが新たなソリューションを提案していく動きは、いち海外移住者として歓迎したいと思っている。