「この前『途上国支援』について取材をしたんだよね」

そう話すと友達に引かれることも少なくない。日々の仕事のことを普通に話したいだけなのに、「意識高いね(笑)」の一言で片付けられることもある。『途上国支援』という言葉はわざわざ出さない方がいいのかもしれないと最近は諦めかけていた。

けれど、「景色をまとい、未来へつなげる」 と書かれたアイウェアブランド『PAGE』のウェブサイトを見たとき、これならあの時の友達と想いを分かち合えるかもしれないと思った。

「それぞれの”PAGE”は繋がっている」

『PAGE』は、メガネやサングラスの通販サイトを運営する『オーマイグラス株式会社」の手がけるアイウェアブランド。レンズの色にフォーカスした商品を展開し、売り上げの2%を途上国の教育支援や人材支援のために寄付している。

すでに販売されている第一弾のコレクションの売り上げは、カンボジアで遺跡と村の共生を目指し、人材の養成やインフラ整備、教育支援を行なう『JST(Joint Support Team for Angkor Preservation and Community Development)』に寄付されるという。

第一弾のコレクションは「ニューヨークの夜空」や「カンボジアの田園」など、街や自然風景の色をコンセプトとしたレンズが特徴だ。

同ブランドのウェブサイトではそれぞれの商品の“ストーリー”を読むことができる。例えば「カンボジアの田園」のページには「未来を象徴する緑。未分化で、原初的で、どのような可能性も秘めている自由の色。」と綴られている。

本田圭佑氏も大好きなサングラスを支援

『PAGE』にはプロサッカー選手の本田圭佑氏もドネーション企画賛同・サポート支援として参加している。

本田選手はアフリカで無料のサッカー教室を展開するなど、社会貢献活動を精力的に行なってきた。カンボジアでも自身の運営するサッカースクールの取り組みの一環で、日本で回収したサッカー用品を寄贈している

彼は支援を決めた理由について次のように綴った。

サングラスがとにかく好きなこと、その好きなサングラスが1つ売れるたびに貧しい人々に寄付したいという想いが重なったことから、このプロジェクトが生まれました。

見る権利は全ての人にある。「Warby Parker」の取り組み

『PAGE』のようにアイウェアの販売を通して途上国支援を行うブランドとして、米国の『Warby Parker』が有名だ。

Warby Parkerは2010年にニューヨークで創業。「見る権利は全ての人にある」という信念を元に「Buy a pair, Give a pair」というプログラムを展開している。メガネを購入すると、売り上げの一部が発展途上国でメガネを製造・販売するためのトレーニングに活用されるというものだ。

ウェブサイトでは「途上国の人に1つメガネを届けることで、生産性は35%向上し、毎月の月収は20%アップする」と支援の重要性を訴えている。その背景にはメガネを手に笑顔を見せる人々の写真が並ぶ。

『Warby Parker』には俳優のライアン・ゴズリングなど、セレブリティにも愛用者は多い。2015年には米メディアFast Companyが発表する「世界で最もイノベーティブな50社」の1位に選ばれ、”FOR BUILDING THE FIRST GREAT MADE-ON-THE-INTERNET BRAND(インターネットから生まれた最初のブランド)”と評されている。

ストーリーへの共感が未来を紡ぐ

『PAGE』と『Warby Parker』に共通しているのは、どのような未来を紡いでいきたいのかを意思表明し、それらをつい手に取りたくなる魅力的な商品と、共感を生むストーリーに落とし込んでいる点だ。また本田選手やライアン・ゴズリングのような著名人から支持を得ていることも、多くの人にとって選ぶ理由になるだろう。

「おしゃれだな」と感じて、身構えずに手を取った商品を通じて、その裏にある社会課題を知る。そうした機会をくれるブランドが増えていけば、社会課題を考えることは決して「意識が高い」人だけのものではなくなるはずだ。いつか友人たちとも当たり前のように、途上国支援について話せる日が来てほしいと願っている。