テクノロジーの発達によって、スマートフォンやインターネットがあれば、距離や時間に縛られることなく、新しい知識やスキルを得られるようになった。国内外の大学や企業は、多様な分野の講義や履修カリキュラムを提供し。そうした講義やカリキュラムはMOOCs(Massive Open Online Courses)と呼ばれ、数多くのプラットフォームが存在する。

そんなMOOCsプラットフォームの大手『Udacity』は、Googleとパートナーシップを結び、新卒や中途転職者向けの無料のキャリアコースを提供すると発表した。

非エンジニアもカバーする多様なキャリアコース

Google Xの創設者であるセバスチアン・スラン氏の手がけるUdacityは、コンピューターサイエンス関連のカリキュラムに強みを持つ。しかし今回公開されたキャリアコースには、テクニカルインタビューやGitHubアカウントの利用法だけでなく、履歴書やカバーレターの書き方、LinkedInでの効果的なネットワーキング方法など幅広いコースが用意されている。

Udacityはブログにおいて、キャリアコースの意義を次のように語っている。

次世代の人材たちは多様なスキルを持って労働市場に参入するが、彼らは多くの競合者、凄まじい速度で変化する雇用環境の2つに対応する必要がある。空いた役割を着実に勝ち取るために必要なあらゆるリソースを活用しなければいけないのです。

キャリアコースはキャリアアップを希望する人から、復職を検討している人まで、幅広い求職者を対象としているという。

UdacityはこれまでもGoogleやIBM、Amazonといった企業とパートナーシップを結び、 データサイエンスや人工知能、ウェブマーケティングなどの分野で「ナノディグリー」(Udacityの提供する簡易的な学位)を取得できるカリキュラムを実施。スキルアップ・キャリアアップに直結するカリキュラムを提供してきた。

そのなかでパートナー企業から「面接を突破するために必要なのは、他の候補者から抜きん出るための戦略や技術だ」といった意見が寄せられていたという。今回提供される12種類のコースは、そうした「ソフトスキル」に特化し、学習者がチャンスを掴めるよう支援するものだ。

「Strengthen Your LinkedIn Network & Brand」の受講画面。ネットワーキングの重要性から丁寧に解説してくれる

日本においてはJMOOCS上で、ドコモgacco株式会社の『gacco』や 富士通株式会社の『fisdom』などのプラットフォームががカリキュラムを提供しているが、キャリア支援に特化した実践的なコースは決して多くない。

MOOCsの取り組みは新たなスキル獲得をする、あるいは学問を探求する機会を、世界中の人々に提供してきた。しかし仕事を得るための競争が激化する現代においては、Udacityのいう「ソフトスキル」の重要性も見逃せないだろう。キャリアについて得られる情報の質や量は、置かれている環境によって大きく差があるためだ。

実践的なスキルや深い学問的知識だけでなく、職を得るためのノウハウがインターネットを介して広く共有されることで、変化の時代を自分らしく生き抜ける人が増えていくことに期待したい。