病院に行くのは気が重い。自分が病気のときでも、付き添いのときでも、程度の違いはあれど、気が重いことには変わりはない。そもそも、健康なときには行かない場所なわけだし。
気が重くなってしまう要因の1つに、待ち時間の長さがある。「熱のある身体を引きずってここまで来たのにいつまで待たされるのだろう」、そう感じたことは一度や二度ではない。
医療システムそのものへの疑念や、忙しすぎる医療従事者のみなさんへの心配もありつつ、フラストレーションは溜まってしまう。テクノロジーの進歩は、こういった医療機関における負を解消してくれそうだ。
医療ヘルスケア分野の課題を解決する、メドレー
株式会社メドレーがオンライン診療も実施できるクラウド型電子カルテ「CLINICSカルテ」の医療機関への提供を開始した。
メドレーは「医療ヘルスケア分野の課題を解決する」というミッションのもと、インターネットサービスを提供しているスタートアップだ。エンジニアと医師・医療従事者を含む開発チームを有しており、よりよい医療・介護の実現に向けて4つのサービスを展開している。「CLINICS」は、同社が展開するサービスの1つ。
CLINICSは、予約や事前問診、ビデオチャットでの診察、決済や薬・処方せんの配送までオンラインで完結することのできるオンライン診療アプリ。患者は手持ちのPCやスマートフォンを用いて、自宅や会社にいながら診療を受けられる。
対面診療にCLINICSを組み合わせることで、主に慢性疾患における通院継続を支援できることから、「かかりつけ機能」の強化に有効であると考えられ、クリニックを中心に普及が進んでいる。2018年4月現在では、全国800を超える医療機関に導入されているという。
オンライン診療システム「CLINICS」の機能を搭載したカルテ
CLINICSカルテは、メドレーが提供するオンライン診療システム「CLINICS」の機能を搭載したカルテだ。カルテは、医師が患者の病状・処置・経過などを記録しておく診療簿。
医療機関は対面・オンライン問わず全ての診療をCLINICSカルテ上で管理できる他、CLINICSの患者向けアプリを利用する患者に対して、アプリを通じて受診喚起や検査データの送付などが可能となり、より効果的な診療を行うことができる。
患者はCLINICSアプリを使うことで、対面・オンライン両方の診療予約や問診の事前入力、オンライン診療、クレジットカードによる自動決済を行うことができ、通院時の負担が軽減される。
医療機関の事務効率を大幅に向上できる仕組み
電子カルテはこれまでにも存在していた。だが、これまでの電子カルテは「連動型」で、診療情報をレセプトソフトに自動送信するものだった。医療従事者は電子カルテとは別にレセプトソフトを立ち上げて会計を処理する必要があった。
CLINICSカルテでは、日本医師会ORCA管理機構株式会社が運営し、全国17,000を超える医療機関に利用されている国内最大級のレセプトソフトORCAを内包した電子カルテを開発。レセプトソフトを別に用意する必要がなく、会計情報を電子カルテ内で一元管理できるため、事務効率を大幅に向上できる見込みだ。
医療機関はCLINICSカルテを活用することで、予約から対面・オンラインによる診療、会計までをワンストップで管理することができる。これまで複数のシステムに重複して入力していた情報を1つにまとめることで、事務作業を効率化し、より充実した医療を提供できる体制を作ることが可能になる。
医療技術の向上以外にも、医療体験を向上させるアプローチはある。CLINICSカルテのようなサービスが世に浸透してくれれば、医療機関に赴く人々のフラストレーションも軽減されるはずだ。