大学二年生の頃、私は大学を休学して引きこもった。平日の昼間は誰もいない家で一人で過ごし、会話のほとんどはネットを通して行っていた。

その一年で、生活リズムや他者と空間を共にする感覚は完全に失われ、復学する頃には完全に「なんか浮いたヤツ」になっていた。

「一人暮らしは気楽で好きだけど、誰かと過ごす感覚は忘れたくない」「自堕落な一人暮らしに緊張感が欲しい」。そういった悩みを抱えている人は多いのではないだろうか?

ソーシャルネットワーキング・ロボット「Fribo(フライボ)」が、あなたの助けになってくれるかもしれない。

一人暮らしでも、他者の気配を感じられる新感覚ロボット

黒猫のようなキュートなデザインのFriboは、生活音を聞き分け、その情報をFribo専用SNS上のグループにシェアする。

例えば、冷蔵庫を開ける音をFriboが感じとると、グループに参加するFriboが「誰かが今、冷蔵庫を開けたよ。これから何を食べるんだろう?」とつぶやく。個人が特定される情報は伏せられるため、安心して利用できる。

高性能センサーで生活音を学習する

Friboは超音波センサーや照度センサーなどを搭載しており、生活音を高い精度で認識する。生活音は家の間取りや家電の機種ごとに異なるため、学習を重ねるにつれて、聞き分けの精度が上がっていくという。

聞き取った生活音が録音されることはない。さらにグループ内で共有する生活音は選択可能なため、共有する情報の範囲は自らの裁量で選べる。

まだFriboは開発段階だが、韓国での臨床実験の結果、参加者の一人は「プライバシーを守りつつ、誰かと一緒に生活している気になれた」とコメントをしている。

他者と生活サイクルを共有できれば、自然と生活リズムも整うだろう。また、一人暮らしの日常の中でも他者と暮らすちょっとした緊張感を味わうことができる。

日本国内でも、このように通信しながら行動をシェアするデスクトップ型のロボットが次々開発されている。例えばクマ型のロボットのCOMI KUMA(コミクマ)は、「頭を撫でる」や「抱きしめる」などのアクションを起こすと、アクションに応じて通信相手にスタンプを送信してくれる。

直接的な接触や会話を媒介するコミュニケーションロボットは多数出ているが、間接的な他者との接触までもロボットが再現できるというのには驚きだ。

大学二年生の私がFriboを持っていたらもう少しまともに人との距離感を図れたかもしれない。Friboの早急な市場デビューを祈る。