“パーソナライズ”と“サブスクリプション”。

これからのサービスは、この2つの組み合わせが大きな鍵を握っているように思う。

身近なところで言えば、NetflixやSpotifyなどの動画や音楽のコンテンツサービスが思い浮かびやすい。どちらもサービスを使い続けることで、個人の好みを学習し、映像作品のレコメンドや、音楽プレイリストの作成をしてくれる。

これからの消費活動を主役的に担うミレニアルズは、“持たない世代”とも言われる一方で、「個」の表現に重きを置く集団であるとも分析されている。

自分が本当に欲しいと思えるもの、真に求めているものがパーソナライズされ、必要な分だけ自分の手元に届くサブスクリプション型のサービスは、現代との相性が良いのではないか。

ニューヨーク発のスタートアップcare/ofも、“パーソナライズ”と“サブスクリプション”を掛け合わせた注目のサービスを提供している。その内容は、ユーザーごとにカテゴライズされたサプリメントを月ごとに届けるというもの。

ユーザーは、care/ofの公式サイト上で40問程度の質問に答える。内容は、住んでいる地域や年齢など基本的なものから、普段口にしている食べ物について、何を目的にサプリメントを服用するのかといったことなど。ほとんどの質問が記入式ではなく、選択式であるのも楽だ。

回答後は、すぐに自分に合ったビタミン剤が提案される。写真はもちろん、錠剤のもたらす効果などが確かなデータやリサーチをもとに詳細に説明してくれる。

ユーザーは、提案されたサプリメントをすべて購入することが可能だか、必要ないと思ったものは組み合わせから除くことも可能だ。ユーザーにとっては安心であるうえに、ビタミン剤に関する知識も獲得できるのが嬉しいポイントだろう。

定期購読の値段はサプリメントの組み合わせによって異なるが、錠剤の価格幅としては一種類につき5~25ドル/月ほど。錠剤の組み合わせ数は、2~4種類くらいのが一般的だ。

care/ofいわく、同社が提供するサプリメントの値段は、店頭販売でないぶん、一般の薬局で販売されているものよりも比較的安価で購入できるという。店舗の建設費、人件費、維持費などで削減できる分を値段に反映させているのだ。

現時点では、同サービスを日本で利用することはできない。日本にはサプリメントの定期購読サービスはあっても、個人ごとにカスタマイズしてくれるものはまだ存在しないため、導入が決まれば話題を集めそうだ。

本来、サブスクリプション型のサービスの強みは、継続的に使ってもらうことでユーザーのビッグデータを得られることにある。ユーザーごとの好みや趣向を定期的に長い目で把握することで、パーソナライズの制度を向上させることができる。

care/ofだけに関わらず、今後サブスクリプションの強みを活かし、商品のパーソナライズに踏み切るサービスが増えると面白そうだ。