ほかほかの白米、湯気が立つ味噌汁、味の染みた煮物。
椅子に座り、できたてのご飯を食べる一歩手前の時間が好きだ。何から食べ始めようか、味付けは上手くできているだろうか。大人になった今でも、無条件に“わくわく”してしまう。
ただ、それに反比例するかのように気分が下がる瞬間もある。ご飯を食べたあとの片付けである。特に面倒なのが、食器洗いだ。
シンクの上に溜まったお皿、フライパンにこびりついた油、なかなか取れないおこげの跡。
泡のついたスポンジで食器の汚れを洗い流すにつれ、美味しいご飯で満たされた幸福感もすり減っていくような気がしてしまう。
しかし、そんな問題を解決してくれる、明るいニュースが飛び込んできた。タンクレスな給湯器のメーカーとして知られるHeatworksが、給水・配管の設置が不要な自動食洗機を開発したという。
それまで、自動食洗機をキッチンに導入するには、給水・排水用の配管を設置することや置き場所の確保など、いくつかのハードルをクリアする必要があった。食洗機の値段に加えて、設置工事の手配や費用がかさむことを考えると、食洗機を購入することに踏み切れない人も多かったことだろう。
Heatworksが開発した自動食洗機「Tetra(テトラ)」は、テーブルの上や台所のカウンター上などで使える小型タイプ。コンセントをさせる場所であれば、どこでも導入できるという画期的なつくりだ。
洗うのに必要な時間は、およそ10分。お皿10枚分が入るほどのコンパクトなサイズ感ではあるが、2.3回に分ければネックに感じることもなさそうだ。1度に使う水量は約2リットルで、洗剤は内蔵タンクに入れておくだけ。使用するたびに洗剤を入れ替える必要はないという。
また、Heat Works独自の技術である「Ohmic Array Technology」を採用しているため、効率よく水を加熱できるのはもちろん、温度管理なども正確に行えるそうだ。専用のアプリをダウンロードすることで、遠隔から食洗機の設定を操作できるのも画期的なポイントだろう。
気になる価格は300ドル(約3万2,500円)を切る予定。2018年後半のリリースを目指しているという。
注目すべきは、Apple製品のデザインを手がけたことでも知られるFrog Designが、「Tetra」のデザインを担当している点だ。同社はApple製品のほかにも、NeXTの「NeXT Cube」や後のソニーに買収されたドイツ製WEGA製テレビ、マイクロソフト社の「Windows XP」のデスクトップなど、数多くの有名な製品のデザインを手がける世界的なデザインファームである。2016年の11月には、電通と業務提携を結んだことでも話題になった。
「Tetra」は波の動きを彷彿とさせる透明カバーの上部デザインが特徴的であり、どんな場所でも馴染みやすいようなシンプルな見た目と相まって、洗練されたオシャレさを演出している。
「Tetra」が一台あれば、ご飯を食べたあとの憂鬱さからも解放されるに違いない。むしろ、食後の後片付けすらちょっと楽しくなるような。そんな風に“わくわく”するのは、私だけだろうか。