SNSを開く。画面を数回スクロールし、気になる情報があればタップする。多くの場合、それは日本語で記述された社会問題、新しいビジネス、カルチャーに関する記事だ。そうして毎日過ごしていると、多くのことを知っているつもりになる。しかし、本当にそれが世の中の面白いことすべてなのだろうか。

私たちが普段なかなか見ることのない、他国ではじまったユニークな活動に目を向けたインタビュアーがいる。Akiこと安居昭博さんだ。

社会問題に取り組む欧州のユニークなビジネスモデル

Akiさんは現在ドイツのサスティナブルWebマガジン「FUNKENZEIT(フンケンツァイト)」にて映像・写真撮影、英・独語でのインタビュアーを担当し、環境・社会問題にビジネスというアプローチで取り組んでいる。

また、ライフワークとしてスタートアップや難民支援活動のプロモーション映像製作、インタビュー、記事執筆を行いつつ、ブログやYouTubeなどのSNSを使い、欧州の情報を日本に発信している。これまでに彼が紹介した記事は、多くの人々や企業、Webメディアから注目を集めてきた。

彼が注目するユニークな企業の特徴として「お金を稼ぐこと」よりも「社会をよりよくすること」を最大の目的にして活動をするという姿勢が挙げられる。こうした企業は日本ではエシカル(道徳的)な企業と呼ばれ、その認知度はあまり高くない。

エシカルな企業の姿勢

欧州のエシカルな企業には以下のような特徴がある。

  • 人や環境に害があるとわかっているものは使用しない
  • 不当な児童労働で製造されているものは使用しない
  • 生産者が働く環境をよく考え、正当な賃金を支払う(フェアトレード)
  • どこから購入しているか等の情報がわかりやすくホームページなどに公表してある

日本では、このような方針を持つ団体は非営利的に活動するというイメージがある。しかし、欧州では、多くの企業が営利的に社会貢献活動を行っている。そして、活動に十分な利益をあげたあとは、活動規模を大きくすることよりも社会や環境をよりよくすることのために活動を継続していくという。

新しい価値観の導入と実行

Akiさんは今後、欧州のエシカルなスタートアップ30社に取材を行い、新しいウェブマガジン「Earthackers」を立ち上げ、その様子を動画と記事で配信する予定だという。現在、取材するプロジェクトの例として以下のような企業が挙げられる。

紛争地域から産出された資源を使用せず、不当な児童労働によって製造されていないことが認定されている世界一エシカルなスマートフォン「Fairphone(フェアフォン)」

マレーシアに無農薬ゴム農園を建てるところから始めた100%植物性のヴィーガン・フェアトレードのコンドーム、ベルリンのスタートアップ 「Einhorn(アインホルン)」

子ども向けオーガニック食品の製造・販売に特化したスタートアップ 「Freche Freunde(フレシェ・フォインデ)」

ドイツの「包装容器を全く使用しない」量り売りのエコストア Unverpackt

取材のために、現在Akiさんはクラウドファンディングプラットフォーム「GoodMornig by CAMPFIRE」にて活動資金の支援を呼び掛けている。また、作成する記事には、欧州のエシカルな企業における日本人のインターン募集情報も掲載し、日本人が海外でインターンをする道を広げるという。

発信し、行動を啓発するというAkiさんの活動は、ついつい国内の情報ばかりに目が行きがちになってしまう日本人にとって刺激的であり、また、社会を変えたいと願いつつもなかなか実行できない人に行動を起こすきっかけを与えるだろう。取材を終え、Akiさんが発信する動画と記事の配信が今から楽しみだ。