普段は住居として利用されている家を宿泊施設として利用する民泊。Airbnbなどのシェアリングサービスの登場で、普及してきたように思う。今年6月に民泊新法(住宅宿泊事業法)が施行され、全国的に民泊が解禁されることも、追い風となるだろう。
シェアリングエコノミーはどうあるべきか
シェアリングエコノミーは物やサービス、空間を他者と共有(シェア)するという仕組みだ。個人間でやり取りを行うことによって、利用者はより安価にさまざまな体験ができる。だが、現行のシェアリングサービスのほとんどは、サービス提供者(ホスト)と利用者(ゲスト)のマッチングを行う仲介業者(Airbnbのようなプラットフォーム)が存在しており、ホスト・ゲストは共に、仲介業者に手数料を支払うというサービスになっている。
つまり、現在のビジネスモデルで最も”得”しているのは仲介業者というわけだ。これは果たしてシェアリングエコノミーと言えるだろうか。
そこで、アメリカのスタートアップ「The Bee Token(ビー・トークン)」はブロックチェーンを利用した新たなサービスを考案した。それが、分散型短期賃貸レンタルサービス「Beenest(ビーネスト)」だ。
ホストは宿泊施設の写真と値段を専用サイトに掲載し、ゲストは掲載された情報の中から目的と嗜好にあった宿泊施設を探すことができるというサービス。ただし、この際に通貨として利用されるのは、「Bee(ビー)」という仮想通貨だ。
マッチングサービスにブロックチェーン技術を導入するメリット
ブロックチェーン技術を活用すると、従来のシェアリングエコノミーサービスと、どのような点が異なるのだろうか。
手数料が抑えられる
旅行などで外国のホテルを利用する際、厄介なのは取引や通貨換算でかかる手数料だ。銀行振り込みやクレジットカードを利用した場合も金融機関への手数料がかかる。仮想通貨で支払いが可能になれば、かかる手数料は仮想通貨に換算する手数料のみだ。
さらに、The Bee Tokenでは、スマートコントラクトを構築するプラットフォーム「Ethereum(イーサリアム)」を用いている。スマートコントラクトには、取引で行われる契約を自動的に実行・保存する機能がある。つまり、イーサリアムでは、取引の実行と同時に、契約内容も管理することが可能だ。
従来の中央集権的なプラットフォーム運営を行う必要がなくなり、分散型のプラットフォームを形成できる。第三者を介さず自動で契約できるため、最終的には、プラットフォームを利用する手数料を仲介業者に支払う必要もなくなる。
透明性の高い取引と安全なセキュリティ
ブロックチェーン技術を用いれば、個人情報は暗号化され、ブロック状になり、たがいに結びついて記録される。一つのブロックの情報が変わればすべての情報が書き換わるため、情報が改ざんされる恐れはない。スマートコントラクトによる契約の自動化で第三者が契約に介入することができなくなり、不正な契約も起こりにくい。
また、すべてのやり取りを改竄・不正のない状態で記録することで、登録するアカウントの信頼性を高めることができる。そのため、ホストはドタキャンなどの様々なリスクを回避できるようになる。また、口コミやレビューはより信頼できるものになり、ゲストの助けになるだろう。
Bee TokenはICO(企業が独自に作成した仮想通貨を株式に見立て資金調達を行うこと)で、目標としていた500万ドルを調達している。ブロックチェーン技術は”真の”シェアリングエコノミーを実現できるのか、彼らの活動に大きな注目が集まる。