美味しそうなスイーツに奇抜なデザインの洋服、こだわって淹れたコーヒー、Instagramに上げればきっとたくさんの”いいね”がつくだろう。
しかし、そうした商品がどのような製造過程を辿っているのか考えたことがあるだろうか。もし原材料を作っているのが、まだ年端も行かない子供だとしたら、あなたはそれらが映った写真に”いいね”を押せるだろうか。
日本の人口を超える数の児童労働者たち
現在児童労働に従事させられている子どもは、世界中で約1億5200万人と推計されている。「児童労働の撤廃」は、2015年9月に国連で採択された持続可能な世界を実現するために解決すべき目標(SDGs)の下に設定された169のターゲットの一つでもある。具体的には、2030年までに「強制労働、現代的奴隷、人身取引の廃止」、および2025年までに「あらゆる形態の児童労働の撤廃」することが目標として掲げられている。
しかしながら、この4年間で、児童労働者の減少数は推計値で約1600万人のみ。また、日本において、児童労働に対する一般的な認識は低く、更なる問題の周知と社会的な取り組みが求められている。そこで、認定NPO法人のACEと電通デジタルが提携し、Instagramを利用した児童労働問題に対する意識を喚起するゲリラ的なキャンペーン「Behind the Insta-Stories」を打ち出した。
児童労働問題に関心を持ってもらうため、あえて「インスタ映え」を狙う
キャンペーンに参加するのは5万人以上のフォロワーを有し、若者に人気のインスタグラマー、ヴィエンナさん(@vienna_doll)、小沢しぇいんさん(@ozw_shane)、シンさん(@ooxx_shin)の三人だ。キャンペーン動画が配信されるのは、ACE(@npo_ace_japan)およびインスタグラマー達の「Stories」だ。
動画はインスタグラマー達による「インスタ映え」するオシャレな商品紹介シーンからはじまる。
しかし、動画をしばらく見ていると、突然巻き戻し音と共に製造過程が”逆再生”されていく。
そして、原材料が映し出されるとシーンは移り変わり……
子供たちが農場で厳しい労働に従事する姿が映し出される。
最後に「『インスタ映え』の裏で苦しんでいる子どもたちがいるかもしれない。」というコピーとACEのロゴ、そして「#児童労働をなくすには」というハッシュタグが表示される。
ハッシュタグをタップすると、具体的なアクションが表示され、児童労働をなくすための活動に参加できるというわけだ。
ティーンエイジャーたちがよく利用するツールで配信することで同年代の子供たちによる労働の問題を考えるきっかけを作り、アクションを起こすまで導くというこのキャンペーンの効果に期待だ。