音楽ビジネス誌『gig』より転載)

90年代に活動していた伝説のヒッポホップグループA Tribe Called Questが出したアルバムに『Low End Theory』という名盤がある。

この名盤にインスパイアされ、Los Angelesのヒッポホップ・ビートシーンではLow End Theoryというパーティーが誕生。去る14日にはLOW END THEORY JAPANがContact Tokyoで開催された。

そんなヒップホップカルチャーをサンプリングしながら、日本に新たな団体が設立された。音楽家向けに法律相談サービスを提供する「Law and Theory」だ。

同団体は数名の弁護士により設立され、ボランティアという形で運営されている。相談フォームから申し込みをすると、音楽家は1回30分から1時間程度の相談に無料で乗ってもらえる。

「楽曲制作の仕事をしたのに報酬を支払ってもらえない」「ライブイベントの出演費が約束していた金額と違った」などのトラブルを想定しており、それに対して専門家が答えるという。

Law and Theoryを設立した水口瑛介氏は弁護士として活動する一方で、DJとしても活動している。日常的にクラブやライブハウスなどの現場に足を運ぶ中で、音楽家が様々な心配事に悩まされていることを知ったという。

デザインとグラフィックの総合情報誌『月間MdN』の最新号で「著作権をめぐる表現と権利の物語」という特集が組まれるなど、クリエイターがどのように法や契約と向き合っていくかは注目されているテーマだ。

「音楽家達の駆け込み寺のような役割を果たし、素晴らしい音楽が世に出ることの一助となれば」と、Law and Theory代表の水口氏は団体設立に寄せたメッセージを掲載している。

クリエイターが自身のクリエイティブに集中できる環境を整えるためにも、とても意義のある取り組みだろう。

img : Law and Theory

音楽ビジネス誌『gig』より転載)