世界で成長している都市の共通点とは。

サンフランシスコ、ベルリン、アムステルダム、ミラノ、バンクーバー、バルセロナ、パリ、上海、ソウル、これらの都市の共通点は何だろう。

それは、イケていて世界中から人を集めていること、それと街づくりにシェアリングエコノミーを導入していることだ。

最近、自転車シェアのサービスが各企業からリリースされ注目を集めているが、世界の街ではすでにいろんな資産がシェアされている。

例えば、オランダのアムステルダムでは共有電力プラットフォーム「Vandebron」によるエネルギー改革が、フランス発の農家と消費者を直接つなぐ「FoodAssembly」ではヨーロッパ中の小規模農家を中心としたコミュニティづくりが、韓国のソウルでは採用に特化した「opencloset」で人材プールをシェアすることで雇用問題を解決している。

“成熟国家”の日本が、目指すべき取り組み。

日本でもシェアリングシティという取り組みが進んでいるが、東京よりも人的リソースに課題がある地方では、“シェア”をどのように活かせばいいのだろう。そのヒントとなるのが、秋田県の「教育シェア宣言」だ。

秋田は県人口100万人を割り、少子高齢化まっしぐらな地域の1つであるが、実は教育は日本トップレベル(全国学力テスト10年連続トップ級)で、国際教養大学のようなグローバルスクールもある。もちろん机の上での勉強だけではなく、豊かな自然での遊びによる学びも多い。個人的な印象でいえば、優秀な若手が街づくりをしに、東京からIターンしている地域の一つだ。

そんなある種の教育の資産を、東京など都市部の人にシェアするという発想がいい。しかもそのための具体的なアイデアや実行の人材も、民間から広く集めるというのがシェアマインドをやりきっていていい(笑)東京大学名誉教授の養老孟司さんは「現代の参勤交代」を唱えている。要するに国の制度として、都市と田舎の往復居住しようというものだ。

“現代の参勤交代”で、教育は進化する。

たとえば、1年のうち1-2カ月は田舎で暮らすことを義務にする。企業は社員を休ませて、田舎で農作業をしてもらう。労働時間が5/6になるが、本気になって効率化すれば業務はこなせるし、むしろ田舎に人が増え、お金が落ち、過疎に悩む地方の活性化に役立つ。農産物も増産され、27%という低い穀物自給率の向上し、身体を動かし汗をかくことで鬱を解消したり、引きこもりを無くすことに貢献するという。大胆だが、面白い国策提案だ。

そういう感覚で教育にも、選択肢ができるといい。例えば、普段は東京で学ばせつつ、長期休みのタイミングでは、家族で地方に行き、大自然の中で学ばせる。教育データを引き継ぐことで、ズレなく卒業できる。

そうすると、地方と海外、そしてオンラインスクールの境目もなくなっていくだろう。科目も先生もコミュニティも、組み合わせの中から選べるようになる。いじめや不登校もなくなるかもしれない。

成熟国家、日本だからこそ、そういう抽象的だが重要な資産をシェアする事例を、世界に先んじてつくっていけたらと思う。何か閃いた人、やりたいと思った人は、秋田でチャレンジしてみてほしい。


書き手:高木 新平

プロフィール:1987年、富山生まれ。早稲田大学卒業後、2010年、(株)博報堂に入社。SNSなどを活用したクリエイティブ開発に携わった後、独立。「よるヒルズ」や「リバ邸」などコンセプト型シェアハウスを各地に立ち上げ、ムーヴメントを牽引する。またネット選挙運動解禁を実現した「ONE VOICE CAMPAIGN」などを主導。そのライフスタイルが、NHKなど様々なメディアに取り上げられる。2014年、多様なクリエイターを集め、”VISIONING COMPANY” NEWPEACE Inc.を創業、代表に就任。社会課題からストーリーを組み立てることで、新しい形のブランディングを実践している。

Webサイト: https://newpeace.jp/
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