GIFTFULは、2022年創業のGiftXが提供する「選び直せるギフト」サービスだ。贈り手が商品を選んで送ると、受取手はその商品をそのまま受け取るか、同価格帯以下の別商品に選び直すかを選択できる。

従来のギフトは「贈り手が選んだものを受取手がそのまま受け取る」一方通行の体験だった。GIFTFULは「1つの商品を選ぶ」という贈り手の想いを起点にしながら、受取手にも選択肢を与える。贈り手の気持ちと受取手の満足を両立させる設計だ。

もともと個人向けサービスとして展開していたが、法人利用のニーズが増加。約1年半の準備期間を経て、法人向けに最適化した「GIFTFUL for business」の正式リリースに至った。

法人ギフトの課題を解決する3つの特徴

GiftXは、これまでの「GIFTFUL」の運営から、法人ギフト特有の課題を以下のように捉えており、本サービスではこれらに対応した機能を備える。

まず、選び直し機能の法人最適化個人間ギフトでの選び直し率は54%だが、法人ギフトでは73%に達するという。同社Co-Founderの飯髙悠太氏は取材で「法人間のギフトでは、相手の好みを事前に把握しづらい。だからこそ選び直しの仕組みが効く」と語る。

多様な送付方法への対応も法人向けならではだ。ギフトURL送付、紙のギフトカードによる手渡し、住所への直送をワンプラットフォームで管理できる。受取状況を可視化するダッシュボード、組織管理機能、メッセージテンプレートなど、業務効率化のための機能も充実している。

受け取り時課金も大きな特徴だ。従来のギフトサービスでは発行額に対して手数料が発生し、受け取られなくてもコストがかかる。GIFTFUL for businessでは個人向けと同様に実際に受け取られたギフトにのみ課金される。期限切れの場合、商品代金も発行手数料も一切発生しない。

郵送DMへのギフト同封がその典型だ。従来は受け取り率が3%程度と低いため、500円程度の商品しか入れられなかった。しかし受け取り時課金であれば、3,000〜5,000円の商品を同封しても実質的なコストは抑えられる。体験価値を大きく引き上げられるわけだ。

法人におけるのコミュニケーションの起点になる「選び直せるギフト」

「GIFTFUL for business」の活用シーンは多岐にわたる。会食の手土産、顧客の契約時のお祝い、社員の誕生日祝い、イベント登壇者へのお礼、事例取材時の手土産、新年の挨拶など。既存のギフトシーンに加え、顧客ロイヤリティ向上施策や新規顧客とのエンゲージメント施策など、マーケティング文脈での活用も広がっているという。

取材で興味深かったのは、ギフトの受け取り状況がアプローチを検討するための指標として機能している点だ。例えば、商談目的でギフトを送った場合、受け取った企業の約8割が商談に応じるという結果が出ている。逆を返せば、商談に興味のない企業は受け取らない。イベント後などのアプローチで全員に商談を打診するより、ギフトを通じてスクリーニングを行った上で打診できたほうが効率はあがる。

他にも、カスタマーサクセス領域での活用も広がっているそうだ。契約更新の数ヶ月前にギフトを送り、受け取り状況でチャーンリスクを検知する。受け取ってくれなければ要注意、受け取ってくれれば状態を確認できるだけでなく、ギフトを起点に関係構築のきっかけになる。

飯髙氏は「ギフトは送って終わりではない。受取手からお礼メッセージが返ってくることで、そこから会話が生まれる。コミュニケーションの起点になる」と強調した。

AI時代にあえて”人の温度”を選ぶ

今後はMAやCRMとの連携を視野に入れる。行動データではなく「感情データ」を取得できる点がGIFTFULの強みだ。送った商品と実際に選ばれた商品の違い、シーン別の人気商品といった実データに基づくレコメンド機能の開発も進める。

AIによる効率化が進む時代に、GiftXはあえて「人の温度」を重視する。飯髙氏は「便利さと豊かさは必ずしも比例しない。誰かを思い浮かべてギフトを選ぶ時間や、”気にかけてくれていたんだ”と気づく瞬間こそ、これからの時代に必要になる」と、創業の背景を改めて語った。

合理化すべきところは合理化し、削減できた時間とコストを本当に大切なコミュニケーションに振り分ける。GIFTFUL for businessは、法人ギフトの「体験」を再設計するプラットフォームとして、新たな挑戦を始めようとしている。