人権尊重のための通報窓口、グリーバンスメカニズム

キリンホールディングス株式会社は、一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)が提供する「対話救済プラットフォーム」を活用し、人権尊重のための通報窓口(グリーバンスメカニズム)を2023年2月20日(月)に開設した。サプライチェーンを含む全てのステークホルダーからの通報を受け付ける仕組みを整えることで、人権尊重の取り組みを強化する。

一般社団法人ビジネスと人権対話救済機構(JaCER)とは、国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」に従って、非司法的な苦情処理のプラットフォーム「対話救済プラットフォーム」を提供し、苦情や通報を専門的な立場から支援する組織だ。

「国連ビジネスと人権に関する指導原則」は、2011年に国連人権理事会で承認され、全ての国と企業に対して存在するグローバルな基準。原則内には、「企業方針によるコミットメント」「人権デュー・ディリジェンス」「あらゆる人権への悪影響からの救済を可能とする手続き」の3つが、企業に求める活動として記載されている。

キリングループの人権方針

キリンホールディングスは、2018年に「キリングループ人権方針」を制定し、国内外において人権を尊重する経営を推進することで、サステナブル(持続可能)な社会の実現に貢献することを表明。「人権デューデリジェンス」として、原料農産物の調達先を含めたバリューチェーンにおける人権課題を特定し、防止・緩和と是正、モニタリング、情報開示に取り組んできた。

他にもお客様相談窓口・サプライヤーホットライン・各種社内外のホットラインの設置等を通じ、救済手続きの体制整備を進めてきた。今回、JaCERの仕組みを活用することで、全てのステークホルダーから、あらゆる人権への悪影響についての通報を受け付ける体制を構築することになった。

ここで用いられる仕組みというのが、「対話救済プラットフォーム」だ。このプラットフォームの仕組みを理解するうえで重要となるのが、「苦情処理メカニズム」。苦情処理メカニズムとは、企業活動の際に人権への悪影響を確認した場合に、その状況を是正・改善する救済の仕組みのことだ。

一般社団法人電子情報技術産業協会が公開する「苦情処理メカニズムに関する取り組みについて」によると、多くの企業は苦情処理に対して十分な取組みができていないという。サプライチェーンの課題に対して1社で取り組みを行うにはハードルが高いことや、仕組みに関するノウハウが存在しないことが、理由として挙げられている。

JaCERの仕組みを活用することによって、通報に対する処理の公平性や透明性を図り、これまで以上に対話や救済を促進しながら人権における本質的な課題解決に取り組み、持続可能なサプライチェーン構築を推進していく。