ずっと「ここに居た」人々の物語を知ること

数年前、NETFLIXで『トランスジェンダーとハリウッド』というドキュメンタリーが公開された。ハリウッド映画やテレビをはじめとするエンターテイメント業界において、トランスジェンダーの人々がいかに差別的に描かれてきたのか。過去から現在まで続く問題を指摘した作品だ。

そのなかで、NETFLIXの人気ドラマ『オレンジ・イズ・ニュー・ブラック』でトランスジェンダー役を演じ、TIME誌の表紙も飾った俳優ラバーン・コックスは、次のように述べていた。

長い間、スクリーンの中のトランスジェンダーの姿は、非現実的な印象を与えてきた。私たちは精神を病んでいて、現実には存在しないのだと。でもここに居る。ずっとここに居た。

『トランスジェンダーとハリウッド』では、米国においてトランスジェンダーの人々がメディアなどで自身の物語を語り、表現する機会が増えた一方、人々の目に触れる機会が多くなり、差別や抑圧も強まっていると指摘されていた。

日本は、そもそもメディアでトランスジェンダーの人を見かける機会すら、まだまだ少ない。こうした状況に対し、自分はどう考え、向き合うのか。「ずっとここに居た」人々のさまざまな物語に出会い、知ることから始めたいと思う。

『トランスジェンダー映画祭2022夏』

トランスジェンダーの人々を描いた作品を上映するオンライン映画祭『トランスジェンダー映画祭2022夏』は、知るための良い機会になりそうだ。8月19日の14時から8月22日16時の間、Vimeoで5つの作品を楽しめる。

上映作品には、1960年代からトランスジェンダーの権利のために活動してきたMiss Major Griffin-Gracyを描いた『Major!(邦題:メジャーさん!)』、男性と女性の両方を持ち合わせる「マフ」としてハワイ文化を受け継ぐ“クムヒナ”が主役の『アロハの心をうたい継ぐ者』、ワシントン州の反トランスジェンダー法案への抗議活動を追う『The Most Dangerous Year(邦題:最も危険な年)』などが挙げられている。

チケットの申し込みなどは、こちらを参照してほしい。